診断例
全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第4章 全社一体体制マネジメント成熟度の診断
3)診断例
診断は自社で手軽に実施できることを想定している。客観的な眼で行っていただきたい。
診断に際し、厳しめに判断する癖がある人、逆に、甘めになる人などがいる。
定性的判断であるかぎり、診断する人の特性の影響を受けることになる。
可能な限り、複数で診断を実施し、評価の食い違ったところは何がどう違うのかという議論をすることが重要であり、この議論を関係者で重ねることで、お互いが目指したい方向を共有化したり、情報を開示でき、具体化する手段を検討することができる。
診断するに際し、活動そのものを展開している事務局的な立場の人だけでなく、直接的に関係していなくても、品質の社内監査など、客観的な評価について訓練をうけた人を巻き込むと効果的に実施できる。もちろん、外部コンサルタントによる診断など、より客観的な見方を活用すると、活動への関係者の巻き込みがやりやすくなる。
以下、コンサルタントが診断した場合、こんな見方で評価をするという例を紹介する。
(例1)マネジメントの仕組みと運用に関しての判断
目標のあり方は目標設定の仕方、考え方、示し方、浸透度……など、皆が目指すに値する高い目標であることと、その目標が皆に受け入れられており、自分のものとして有効に活用できていることが不可欠である(図表4‐ 5)。
高い目標、上位目標と下位目標の関連づけ、全員への浸透、目標が財務会計にも確実に効果をもたらすなど、あたりまえのことではあるが確実に実施できていると自慢できる会社は少ない。
(例2)人の活性化に関しての判断
改善事務局の機能(企画力)は、事務局の使命、評価、活動活性化、見える化、定着、などで診ている(図表4-6)。
人が活性し、活動が活性し、全社一体体制の活動が実現でき、環境変化への俊敏な対応で大きな成果を上げるのであるから、皆のやる気を活かす、事務局の役割は重要である。
(例3)企業活動の結果に関しての判断
業績変革成果は大きな成果、継続的な成果、確実な目標の達成、の3項目で診ている(図表4‐7)。成長し続けるために成果は重要である。それも一過性の一時的な成果を求めているわけではなく、今社一体体制が、トップの意思を反映した持続した成果を確実に実現しているか否かを結果側面からみている。
もちろん、結果としての成果が追い風だけの外的環境で一時的に成し遂げられることもあるが、継続的成果には結びつかないので、総合的な判断が必要でもある(図表4-7)。