スパイラルアップ方式によるマネジメントの成熟度向上
全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第2章 全社一体体制のマネジメント
4)スパイラルアップ方式によるマネジメントの成熟度向上
1)スパイラルアップ方式で一歩一歩前進
企業が真に成長を続けるためには、いかなる企業も改善・改革活動を継続的に展開しなければならない。各社で推進されている改善・改革活動は千差万別で、企業の独自の文化から生まれた改善・改革力を活かし、さまざまな工夫を加えて展開されている。
改善活動を上手に進めている企業とそうでない企業では、組織的な問題解決能力や組織の結束力に差があり、結果として経営成果に大きな差が出ている。
改善・改革力が充分に身についていない企業が高度の改善活動や目標展開を計画しようとしても、作成した計画は“絵に描いた餅”になってしまう。
たとえば、5Sがしっかりできていない現場で、高度な品質改善を実施しても期待した効果は生まれない。それどころか、改善活動のPDCAサイクルが廻る仕組みがない部門が、他部門と連携した改善活動を実施すると、自部門の遅れが他部門の改善活動の遅れの要因になる可能性が高い。
大切なことは、自身の改姜・改革力を知り、力量に合わせた活動を実施すること、そして改善・改革の技術力を向上させるための活動を展開することである。
本活動のスパイラルアップ方式は、 5つのステージで構成されており、自身の改善・改革力に応じたステージを選定して、1段階上のステージを目指して行う活動の一つである。改善・改革力・マネジメントカのレベルに応じて5つのステージを段階的にクリアーしながら、マネジメント・システムを構築していく。
5つのステージとは、「ステージ1:導入期」から順に、「ステージ2:浸透期」、「ステージ3:連携期」、「ステージ4:自律期」、「ステージ5:確立期」と分けられる(図表2-21)。
ステージ5に近づくと全社一体型のマネジメント・システムの完成度が高くなる。
・ステージ1:導入期は、 システム導入を具体化して、目標と施策が明確に結びついている状態を作り出す時期
・ステージ2:浸透期は、システム導入が完了して、改善・改革活動にシステムを浸透させる時期
・ステージ3:連携期は、システムを活用して部門間で連携した活動を展開する時期
・ステージ4:自律期は、活動に関連するすべてのプレイヤーが参加して、改善・改革活動が自律的に推進されている時期
・ステージ5:確立期は、自社または事業の特性に応じた独自のマネジメント・システムを確立する時期となっている。
各ステージの活動は、
①アセスメント
②導入教育
③ 目標設定
④施策の展開
の4つが基本的な展開ステップである。
この4つのステップを順次実施して、1つ上のステージを目指す。それぞれのステージの活動期間は1~ 3年でクリアー可能であり、次のステージに進む。
次のステージに進むかどうかは1年間の活動そのものを自身で評価(アセスメント)し、基準をクリアーしていれば次のステージに移る。
活動ステージがレベルアップしていくことは、マネジメント・システムの成熟度が向上していることを意味している(図表2-22)。