自律化のために備えること
全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第2章 全社一体体制のマネジメント
7)自律化のために備えること
自律的人材について、日本経済団体連合会(経団連)は『主体的なキャリア形成の必要性と支援のあり方』という提言で、「自ら主体的に考え行動する人」としている(図表2-19)。
この提言もふまえ、自律化を進めていくために重要なことは、次のようなものがあげられる。
(1)トップの意思の共有化・目標展開
「自ら主体的に考える」といっても、企業においては、従業員の主体性は、トップの方針の枠の中での主体性でなければならない。したがって、企業の経営哲学(理念、ビジョン、ミッションなど)、経営戦略などに基づく自主性でなければならない。
具体的には、全社一体体制マネジメントの各種の総合目標の内容を理解し、それぞれの従業員が属する部門に目標展開された目標に基づいて、「主体的に考える」ことになる。
(2)人材育成、スキルアップ
「自ら主体的に考え行動する」ためには、それができる人材を育成しなければならない。自社にとっての自律化とは何か?について検討を行い、それにふさわしい人材育成を行っていかなければならない。
(3)資格制度と権限委譲
従業員が「主体的に考え行動する」ためには、それぞれの従業員の職務やスキルに見合った権限委譲が行われなければならない。そのために(2)の人材育成プランと連動した資格制度を設け、資格に応じた権限委譲を行っていかなければならない。
(4)自律的組織作り
企業内の組織制度についても自律化に見合ったものでなければならない。集権的な組織制度ではない組織作りを行わなければならない。