実績管理とツール
全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第2章 全社一体体制のマネジメント
4)実績管理とツール
全社一体体制のマネジメントにおいて、目標を達成して成果を確実に実現するためには、きちんとした実績管理の仕組みを構築することが不可欠である。
実績管理の仕組みとしては次の3つが重要である(図表2‐14)。
①施策ごとの進捗プロセスの管理(週次(日次))
施策が予定通り検討されているかどうかの管理
②施策ごとの成果管理(週次、月次)
施策ごとの成果が出ているかどうかの管理
③目標の達成度管理(月次、年次)
目標階層ごとに成果が出ているかどうかの管理
(1)施策ごとの進捗プロセスの管理
実績管理の第1段階は、施策ごとの進捗プロセスの管理である。施策実行計画書の検討プロセスに従ってしっかり検討が行われているかどうかをきちんと管理する必要がある(図表2‐15)。
実行計画書に記載されている5WlHについて、計画通りに検討が行われているかどうかをそのつど把握し、実行計画に遅れをもたらす兆候が見える場合は事前にその対策を行い、当初の計画通りに施策が実施に移され、所定の成果が実現できるよう、課題の実施前に十分に検討を行う必要がある。
(2)施策ことの成果の管理
実績管理の第2段階は施策ごとの成果管理を行うことである。部門の目標を達成するためには、施策ごとに計画した成果を実現していくことが重要である。
施策の当該年度の到達目標と月ごと(週ごと)の到達目標を明確にし、年間の成果(面積目標)が計画通りに実現できるかどうかを事前にきちんと把握する必要がある(図表2-16)。
そして実施段階では、月次(週次)の到達目標の達成度を管理するとともに、面積目標の達成度も管理していく必要がある。そして計画に対して遅れが生じた場合には、その挽回策を早めに打っていかなければならない。
(3)目標の達成度管理
実績管理の第3段階は目標の達成度の管理である。「(2)施策ごとの成果の管理」と同様に、目標についても、目標の階層ごとに、高さと面積の達成度の管理を行っていく必要がある。
目標の達成度管理では、目標を必達するために目標未達時の迅速な挽回策が重要である。そのために、年度末における各施策の成果を予測し目標と対比することで、早めに挽回策を実施していく。挽回策は、施策の追加、前倒し等で対応する(図表2-17)。
(4)経営成果実現のために
全社一体体制のマネジメントを行うためには、このマネジメントシステムの成果と経営成果(利益)との関係を明確にしなければならない。
多くの会社で経理部門を中心に行われている予算管理や原価管理と、全社一体体制のマネジメントによる実績管理との関係は次の通りである。
予算管理(原価管理)が部門ごとに費目別の管理を行うことを主眼としているのに対し、全社一体体制のマネジメントは施策ごとの実績管理を厳密に行い、
目標の達成のためのマネジメントをより確実に行うことを主眼としている(図表2-18)。
予算管理と、このマネジメントの結果は基本的には連動するはずであるが、
・施策は重要な課題について立案されるので、施策以外の要因で経理数値が変動することがある
・施策の成果計算基準と会計処理基準が一致しない(一致させるとかえって双方に不都合を起こすことがある)
などの理由から全社一体体制のマネジメントの成果が、決算書の数値とどのような関係があるかを分析する仕組み作りが必要である。