目標展開と施策策定の基本

全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第2章 全社一体体制のマネジメント

2)目標展開と施策策定の基本

(1)目標展開
 企業活動では、中期経営計画→ 年度計画への落とし込みというプロセスで通常は行われる。また中計も毎年リニューアルを行いつつ、年計と連動させている。
 ここで重要なのは、
・事業環境変化に応じて中期計画は見直され、年度での実施事項、次年度以降のための事前検討事項を更新していること
・年度途中でも目標展開、改善計画ともに修正し、変化対応型改革推進マネジメントができていること
……という2つのことである。

目標展開では、
・経営目標から設定される改革目標について全従業員が理解・納得し
・さらに展開された各個別目標に対し改善施策(テーマ)が設定され
・従業員は自身の施策が総合目標に対してどのような位置づけにあるのか理解できる
……などの仕組みがあることがポイントとなる。
 目標に関する基本的な考え方は、業績目標と体質目標、高さ目標と面積目標である。

・業績目標と体質目標
①業績目標:文字通り企業が年度で達成すべき経営目標で、売上、営業利益、経常利益、棚卸資産回転率等々であり、
②体質目標:企業体質や状態の達成水準の目標という意味である。したがって数値で表現し難い面もある。どんな姿の企業になりたいか、どんなことができる工場になりたいか、といった状態を示す目標である。
 例えば、技術力で世界トップとか、環境負荷ゼロエ場などである。体質目標は、数値目標で表現する事は難しいが、実際には、この姿を実現するための代用特性をその目標にするなどの工夫により、より実践的な活動が行われる。
 例えば、先に述べた「技術力で世界トップ」というのは、年間一人当たり○○部門特許取得数△△件とか、○○○能力世界一製品の発売、などと目標設定すると展開はしやすくなる。

・高さ目標と面積目標
①高さ目標:到達点目標のことを指す。商品(製品やサービス)の競争優位のために達成すべき高さ、すなわちレベルを指す場合に使われる。「高さ目標」を使う場合は、例えば競争相手とのコスト競争で自社が、競争相手を上回るコストを実現しなければならないときなどに使われる。
②面積目標:当該期間内で得られる成果累計の目標を指す。通常は年度内のコストダウン総額などがそれに当たる。年度事業計画の実現を目標にする場合は業績=面積目標となる。この場合、業績実現のためにはどの水準をいつ実現するかが重要となるため、上記の「高さ目標」の概念とは異なった、「業績実現のための高さ」の概念が必要となるが、どちらも到達点目標という意味で使用する。
 業績目標を受けて設定した数値で表せる目標値を、高さと面積に区分して設定し、実績をフォローすることが重要で、この場合は、
<高さ目標>とは、到達すべき目標値を指し
<面積目標>とは、期間内に達成すべき累積目標値を示している。
 例えば、毎月の成果もその月の生産量により変化するので、年度の月次生産計画をベースに、月ごとの目標値を設定しておくことが必要である。

 実績をフォローする場合に重要なことは、年度末の成果が予測できる状態、つまり効果を予測できるシミュレーションを構築しておくことである。こうすることで、タイミングを外すことなく事前に手を打つことがより可能になり、目標未達を回避することに役立つ。効果予測シミュレーションについては図表2-6を参照されたい。

(2)施策策定の基本
 次に施策策定であるが、施策については、事業計画の目標や改革方向性と、改革推進の目標、施策が完全に一致していることが重要である。
 多くの企業で見られるのは、目標と施策が一致しておらず、計画段階ですでに目標達成が難しい状況である。これは目標達成に向けた事前の施策検討が不十分なためで、適正な方策の検討、部門間連携、前提条件、ふさわしい担当者の選定などをしっかりと検討することが不可欠である。また施策と実行計画の関係では、実行計画の改善スケジュールは、月次の成果目標を達成できるタイミングで立案されていることが必要である。
 目標未達と予測された場合、通常そのまま活動を展開し目標未達に終わることが多いが、重要なことは妥協のない目標を達成することであるので、施策設定の段階で、予備の施策をいくつかプールしておくことが必要である。いわゆる改善テーマのプールを行っておくことを意味している。

(3)トレードオフの検討
 目標や施策を設定する時に事前に検討しておくべき重要なことは、目標や施策のトレードオフである。目標達成に向けてある改善テーマを実行した場合に、他の改善テーマにはマイナスになることも十分考えられる。
 例えば、あるクレーム対策を実施すると人件費が上がるというケースはよくある。このように、クレームが減少する代わりに人件費が上昇することが事前に判明した場合、人件費が上がらない施策を追加しておくべきだということである。
 こうしないと、活動が進み成果が見え始めた段階で、他テーマヘのマイナスの影響が出ることがわかってアクションが遅れたり、最悪の場合は手が打てないなどといった事態になりかねない。したがって、こうした負の影響を事前に確認できる仕組みを用意しておくことが重要である。

(4)施策展開のポイント
 施策展開で考慮すべきことは、施策の横展開である。目標達成に向けた改善テーマは全社でみると大変に多い。それらを一つ一つ改善していくのではなく、モデルとなるケースを選定し、改善を進めることで、モデル試作を確立し、そのアプローチを類似の施策に展開していく…… という仕組みを作ることが、改善を効率的に進めてゆくポイントである。
 つまり、そうした、大きな成果に繋がるような仕組みがあることが重要で、
・モデル展開施策と横展開施策に区別されており
・かつ実行アプローチも確立していること
・横展開施策の展開対象にリストアップされ
・全体の成果予測がされている状態を作り込むこと
がポイントである。


サブコンテンツ
CPE 生産技術者マネジメント資格 CPF 第一線監督者マネジメント資格 CPP 購買・調達資格公式サイト ものづくりポータルサイト ものづくりのためのJMAオンラインセミナー JMA GENBA Management Conference & Award 第一線監督者の集い GOOD FACTORY賞 受賞記念講演会 JMI生産・開発マネジメントコース 生産革新プロフェッショナルコース ものづくり人材育成ソリューション JMA海外体験型研修プログラムJ-EXCEED

企画、開発設計、生産、SCM、購買調達、品質、人材開発にわたる先進企業事例の講演会・2020ものづくり総合大会

TOP