企業の直面する問題点
全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第2章 全社一体体制のマネジメント
2)企業の直面する問題点
年度計画を推進する際に良く見受けられる問題点を、年度計計画のPDCAサイクルから整理して見てみよう(図表2-2)。
(1)年度計画の作成段階、P(プラン)の課題
年計などの作成段階、P(プラン)では、経営TOPの目標方針を受けて、目標が各部門ヘブレークダウンされる。この方法は恐らく各社とも共通に行われていると思われる。
このステップの問題点は、目標値(数値)の展開は行っているが、それらを達成するための方策の設定や実施計画が、具体的な方策や、実現の可能性まで検討し、きちんと確認・整理していないところにある。
つまり、個別テーマについては担当者に任されており、その担当者がスキルを持っていれば良いのだが、そうでない場合には計画段階で、成果が期待できない状態になってしまっていることが多いのである。
また各テーマ間の整合性や、目標間のトレードオフ、部門間連携のあり方、数値には表せない目標に到達した時の状態指標なども設定されていないことが多い。この状態で年度計画を展開すると、結果として成果が出にくいのである。
(2)実施段階D(ドゥ)の課題
実施段階、D(ドウ)では、問題解決力の個人間のバラツキ、解決スキルの未熟さによる成果未達、部門間連携のまずさによる解決の遅れや組織の壁、改善テーマ推進中の条件や環境変化への対応遅れ等による、成果出しの遅れや未達が多く見受けられる。
(3)チェック段階、C(チェック)の課題
チェック段階、C(チェック)では、本来進捗遅れなどの問題点や対策を検討すべきところなのに、単なる報告会で終わってしまっており、アクションが遅れる原因になっている。
また年度末の成果予測ができないことから、アクションの機会を逃すこともあるし、各改善テーマの見える化が不十分なため、全社の一体感や相互連携にも悪影響を与えている。個別最適の活動のみになってしまっている。
(4)アクションの段階、A(アクション)の課題
アクションの段階、A(アクション)では、定例会議などで、問題点の指摘と「なんとかしろ」と言う指示のみで、具体的な内容までは踏み込めない。
したがって、状況の変化への対応も遅れ気味になり、結果として成果が思ったように出ないという状態になっている。
こうした問題点の結果として、ToPが意図した成果がでず、業績的にも満足ができない状況になっている。これらの身近に見られる問題点を解決するためには、いま一度、全社一体体制でのマネジメントがどうあるべきかを見直し、全体最適を実現できる仕組みづくりと運用法を再構築することが不可欠なのである。