改善目標はそれぞれ腑に落ちている
全社一体体制のものづくり改善マネジメント
-ものづくりグローバル標準マネジメントシステムの構築-
第1章 全社一体体制での改善活動の目指す姿
2)全社一体で改善活動を積極的に推進させる工夫
現場で改善活動を積極的に推進するためには、適切な施策を選定し、正しく実施することが大切である。もちろん、改善活動はその意義と必要性がきちっと認識され、実践されなければならない。
そしてマネジメントをする立場の方々はその施策実施のための時間と場を作っていかなければならない。
即ち“やり方”と”やる気”と”やる場”に関する工夫が不可欠である。そのために整えるべき条件を整理してみたい。
本来、だれもが改善することは好ましいことと思っている。一方で人は本質的に保守的ともいわれている。そうした人間の持つ矛盾を前提として、全社一体で改善活動を積極的に推進させる工夫が必要でありそれを意識して行うことが重要である。
1) 改善目標はそれぞれ腑に落ちている
まず大切なことは、
・改善の必要性を正しく認識すること
・それを伝えること
である。
改善目標は「今より良く」とか「できるだけ安く」といったものでは不十分である。実際に改善に取り組む人にとって、たとえば、現在進めている、稼働率向上がどのような成果(改善目標)につながっているのか?
という認識が重要である。
改善目標は経営の必要性から出発した必達目標である。この例では、稼働率向上を目指しているが、それだけがその目標を達成する手段であるとは限らない。
だから、稼働率向上の先にある真の目標を明らかにしておくことは必要である。
具体的な改善では稼働率を○○%あげるとか、シャットダウンの時間を○○分にする、あるいは在庫量を幾らにするといったように定量的なものでなければならない。そのためには改善目標は具体的な数値目標に系統的に分解されている必要がある。
改善は、少しでも良くなれば良いという気持ちで取り組むものではない。経営の必要性から展開されていなければならない。それは商品の競争力に結び付くものであるので、例えば価格競争力であれば製造原価を幾らにすべきか、ということに結び付く。
さらにそれは費目ごとに、材料費は……、労務費は……、経費は……と展開され、それぞれはさらに細分化されてより具体的に示される。当初は金額目標であったものが、具体的な活動目標として展開されていくと、○○%向上とか△△秒削減などのような指標に展開されることになる。
改善の場では○○%向上ということが、経営目標の何につながっているかを認識することが重要である。
必達であるという認識とその意義の理解が大切なのである。