3 段階の生産計画
② 3 段階の生産計画
生産計画を段階的に設定してゆくのは、市場の変化や計画変更などが生じた場合の影響をバッファで吸収し、納期遅れをおこさないためです。
直近の需要予測や確定受注によって小日程計画が立てられますが、自動車産業などでは、一般的には前月に内示をだすことで、調達を計画し、当月の確定受注を基に、日々の生産計画が立てられています。
前月の内示と今月の確定受注の間にはいくつかの変更があり、これが生産計画の精度を下げる要因の一つです。
そうした変更は、あらかじめ保有している製品在庫や、部品在庫で処理されることになります。
確定受注に応じた生産を行えば変動幅は大きく、効率化をめざして生産の平準化を行えば在庫が増えるというジレンマのなかで、いかに大日程計画、中日程計画を活用するか、それが課題にもなっています(図表4-7)。
ⅰ)大日程計画(年度計画)
年次計画で半年〜1 年くらいの期間を対象に設定します。
目的は、長期的な、工場の新設や配置、海外展開、設備計画、要員計画などを整備し、また、リードタイムの長い資材を見込みで発注する際の目安とする…などがあります。
納品から遠く離れた長期の計画なので、精度は高くありません。
全体の傾向から長期的な生産戦略の方向を見るための計画ということになります。
ⅱ)中日程計画(月次計画)
中日程計画は3 か月〜1 か月の期間にわたって、大日程計画を期間ごとにブレークダウンしたものです。
具体的には12 月末頃に、2、3、4 月の生産計画を7 日〜10 日くらいの単位で作成します。
この計画に従って資材の所要量が産出され、調達指示が出されますので、できるだけ実績に近い数字でつくることが、以後の計画変更の影響を最小にする重要なポイントです。
ⅲ)小日程計画(日次計画)
中日程計画以後の営業からの要請や、受注変化が修正され、生産順序、工程・人員編成などを基に、日ごとの生産計画が生産現場などで作られます。
スケジュールの進行単位は分で、この計画から納期、資材・治工具、人員などを確認し、手待ちや納期遅れが発生しないように差立て板などに展開し、日々の生産活動が進められます。
③受注・計画変更の対策
最大の課題である生産計画変更の影響を最小にする対策は、
・変更の規則性を見つけてその規則に従って調達・ライン編成を調整して数量変化に対応する、
・突発的な変化であれば、あらかじめ、過去の変化から安全在庫を確保しておき残業や工程編成・増設で生産対応する
など、発注企業- 受注企業の双方で試みが行われています。
自動車部品のサプライチェーンでは、受注の内示- 確定受注のノウハウが歴史的にも蓄積されていますが、それでも受注数は変化し、生産管理部門の業務として、生産計画づくりよりもむしろ変更後の対応が日常のメイン業務になってしまっているなどというケースも発生しています。