生産管理の変化点
2 生産管理を変える要因
(1)生産管理の変化点
①産業革命――分業化と設備の利用による大量生産方式の確立
人間がものづくりを始めて以来の夢は、安定した品質の商品を低価格で大量に提供することでした。
最初にこの夢を実現したのが、18 世紀後半にイギリスではじまった産業革命で、こうした分業化による大量生産方式を究極まで高めたのがフォード生産方式です。
設備の専用化とゲージの利用で、組み立ての流れ生産を実現しました。
同時に、産業革命は工場労働者を消費者に変えました。
生産管理には、需要と供給の関係さえ変える力があるのです。
②内燃機関の開発
内燃機関が発明されたのが1800 年代後半でした。
この時に発明された内燃機関は、自動車として、また、手軽に移動させることができる動力源として、その後の産業界を大きく変えることになりました。
生産管理の視点で見ると、自動車の生産を通して、流れ式の大量生産方式が確立されました。
これを可能にしたのは、自動車が活用されたことで、市場の近くでしかできなかった材料・部品の供給が遠く離れていても可能になったことも大きく寄与しています。
③情報技術の活用
情報技術が産業界に導入されるようになったのは1960 年代に入ってからです。
情報機器は、大量のデータを処理する事務機器としてだけでなく、機械・設備のコントローラーとして活用され始めたことで、ものづくりの世界は大きく変化してきました。
近年では、あらゆるものに情報端末を搭載し、Internet of Things(IoT)の活用で、工場を一変させようとしています。
④消費の多様化と多品種の流れ生産方式の確立
この「多品種生産」は変化点としては小規模ですが、生産管理視点から見ると、大きな発想の転換がそこにはあります。
多品種を生産する際のネックは段取り替えと部品の供給でしたが、これを解決したのが段取り替え時間の短縮と工程に必要なタイミングで必要な資材を供給するジャスト・イン・タイムの生産方式でした。
これで少量で多品種の生産を、あたかも大量生産を行うような流れ方式で生産できるようになりました。