生産計画づくりのPDCA
2)生産計画づくりのPDCA
いったい、生産計画はどのように評価されているのでしょうか。
近年は、在庫削減が大前提で、生産計画づくり、所要量展開や資材計画にあたって、「在庫極小化」を強く意識した計画がつくられています。
評価項目としては、ほかに稼働率、残業率(加工費率)、計画変更回数、品切れ率、品種切替え回数…などがあり、実際にも、こうした指標を用いて生産管理部門の評価を行っているケースもあります。
しかし、生産管理活動の結果、求めるQCD を実現する、としながら、実は、QCD も、稼働率、品切れ率、品種切り替え回数などの指標も、時間軸が考慮されていないために、肝心のリードタイム短縮や最適コストという切り口では、生産計画を評価することができていないというのが実情です。
生産計画づくりがP-D はあっても、C-A がない状態で運営されているのです。
3)生産計画の評価指標を
同じ調達品をつかって、昨日製造したロットA と、今日製造したロットB は、1 日の滞留がある分、生産リードタイムが長く、完成した時点での1 個当たりのコストは厳密に言えば、1 日分の金利がかかっているはずです。
現実には支払いは月単位で行われているので変化はありませんが、リードタイムという視点で見るとそういう状態です。
しかし、製造された後、納品まで完成品倉庫で滞留していれば、結局、両者の違いはなくなります。
こうした違いは、従来のQCD では評価できません。
4)計画変更時の対応策は適切か
生産計画変更をした場合の、計画の妥当性、変化させたときの変更の妥当性を、時間軸のないQCD ではなく、時間軸を入れた指標で評価することが必要ではないかと思います。
それによって、生産計画担当者の悩みである、計画変更時の品種切り替えの優先順位も考えやすくなるはずです。
詳細は、次項の「進捗管理・生産統制: フレキシブル生産体制の確立」で考えてみましょう。
(3)[生産統制・進捗管理]フレキシブル生産体制の確立
生産管理部門が目指す究極の工場の姿は、どんな変化にも対応できるフレキシブルな生産体制の確立です。
最初に、フレキシブル生産体制とはどういうことなのか、明確にしておきましょう。
①フレキシブル生産体制の確立
基本的には、生産量に合わせて自在に生産体制を編成できる…ことですが、それは人員編成やコストを無視すればいくらでも可能です。
1)フレキシブル生産を構築する条件
フレキシブルに対応して生産できるとは、生産量が変わってもQ、C、D の変化なく、生産できるということでしょう。QCD の項でご紹介しましたが、1000 個製造しても、10 個製造しても、1 個当たりの原価は変わらずに製造できる、それが自在な生産システムです。
具体的な例として、ライン生産のケースとセル生産のケースをご紹介しました。
こうしたフレキシブルな生産体制を構築する条件として、
・段取り替え時間が短縮化されている多品種、変種、変量を流しやすいように短ライン編成になっている
・生産ロットが小さい
・自在に対応できる多能工がいるなどがあります。