これからの生産の資源── 4M+I(情報)
第3部 生産管理を支える基本的手法のこれからの課題
1.生産管理を支える基本的手法と課題
生産活動は、生産の資源となる、4M: 人(Man)、設備(Machine)、材料(Material)、方法(Method)を活用して、消費者や顧客が求める商品を、QCD を満足させて、生産し、タイムリーの納品することにあります。
生産管理は、この4M を有効に活用して、設計された製品を、設計・計画通りのQCD で作り上げることが、課題です。
これからの生産管理に有効な基本的な手法を考えてみましょう。
(1) これからの生産の資源── 4M+I(情報)
生産管理は、この4M を有効に活用して、設計された製品を、設計・計画通りのQCD で作り上げることが、課題です。
生産を行うには、4M がなければできませんが、近年、この4 つのM に加えて、不可欠な要素となってきたのがI、つまりInformation: 情報です。
4Mの中で、Method は形のないソフトウエアですが、そのMethod を決める要素として、またMachine を操作する要素として、いまやInformation は欠かすことのできない要素になっています。
「生産の要素4M」は古くから使われてきている言い方ですが、時代が大きく変わっています。
今後は、4M+I を基本として考えるべきでしょう。
これらを管理するポイントは以下のようになります。
① Man(人材)
作業者、工数としてのMan だけでなく実施するのは人間なので、高い目標とモチベーションをもって仕事の取組めるなどの環境づくりが大切です。
変化点をしっかり確認して重点管理が必要です。
② Machine(設備)
いまや設備は、単独では動きません。適切な操作法= 制御システムを利用することで、標準化生産が可能になっています。設備のノイズ、振動、揺れ、挙動、におい、スパークなど、異常の兆候です。
設備を安定的に稼働させるためにも、適切なソフト技術とメンテナンス、変化点の管理が重要です。
③ Material(資材)
社内の内製だけでなく協力会社の設備、作業者…など、加工現場のちょっとした変化で不良やチョコ停が発生します。最近は調達も国際化が進み、より短期間での高度な技術開発が求められる中で、単に資材の調達というだけではない、サプライチェーン全体を通した効果的な連携の必要性が高まっています。
④ Method(方法)
作業標準が決められているか、品質工程表が作られ、守られているかなどを確認することが大切です。同時に、ERP やCAD、CAM、さらに3D プリンターなど新しいMethod が情報技術の発達で開発されています。
他の要素も含めた変化点管理が重要です。
⑤ Information(情報)
現代のものづくりはInformation、情報技術なしでは考えられません。
1) ハードの設備をコントロールする制御システム
2) ものづくりのプロセスを管理する情報システム
の両面で、情報機器なしでは動かないようになってしまっています。
かつて、ものづくりの世界は技術の有無で差が生まれましたが、汎用製品の生産技術はモジュール化され、誰でもが使えるものとなってしまいました。
それだけに、より独自で高度な技術が求められています。最近は、もののインターネット化に伴って、ますますIT 技術の重要性が高くなり、ものづくりの差は、Information Technology の活用によって生まれるようになっています。