2020ものづくり総合大会 事務局後記 コニカミノルタ
持続的成長のためのものづくり改革の試み
コニカミノルタは、世界150カ国、約200万社に高付加価値な製品・サービスを提供するイメージングソリューション企業です。2019年3月期の連結売上高は1兆591億円、従業員数44,360名(うち7割は海外の国籍)。売上高の8割は海外であり、主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業などをグローバルに展開しています。
社長就任前に定めたミッションとは
松﨑氏がコニカミノルタの社長に就任されたのは、リーマンショック直後の2009年4月のことでした。経営環境の先行きが見えないところで、どのように経営の舵取りをしていけばよいのか。考え抜かれた結果、「『持続的成長』こそが、これからの企業にとって重要だと考え、意思決定・行動の原点とした」と述べられました。今でこそ「持続的成長」は事業戦略のキーワードとなっていますが、当時はまだあまり使われておらず、先駆的なものでした。
持続的成長を可能とするため、松﨑氏が目指したことは2つ。1つは「足腰のしっかりした、進化し続ける企業」にすること、もう1つは「社会から支持され必要とされる企業」にすることでした。これらは現在もコニカミノルタの「経営ビジョン」として継承されています。
社長就任後、経営のトップアジェンダとして「継続的にイノベーションを創出していくことが成長の原動力になる」と考えられた松﨑氏。顧客への価値提供こそがイノベーション創出の目的とし、継続的な創造に向け、(1)コア技術×コア技術(進化)、(2)自社技術×社外技術、(3)ものづくり技術×サイバー技術、の3つを強く意識されたことをお話しいただきました。
イノベーションプロセスの構築・運用と環境整備
松﨑氏は、継続的なイノベーションの創出には「プロセスが重要」と説かれ、2つのポイント「どこを狙うか=事業領域(ドメイン)」と「顧客価値とその手段」を挙げられました。
具体的なプロセスは上述したポイントを念頭に価値創出から議論をスタート。実現手段を探り、さらに議論を重ね、仮説としてまとめ検証を繰り返す。「外れてしまうと時間の無駄になるので、はじめから完璧な計画を作ろうとしないことが重要」と松﨑氏は説かれました。
また、経営トップとして行われたイノベーション創出の環境整備の一端もご紹介いただきました。2014年開設のR&Dセンター「コニカミノルタ八王子SKT」は、組織を越えたコラボレーション促進の場として広く利活用されています。さらに、世界の5拠点に設置し、研究機関やスタートアップなどと連携しながら、多くのプロジェクトを推進し、柔軟な発想で新規ビジネスの創出に取り組むビジネスイノベーションセンター(BIC)。中でも、今後のペーパーレス時代を見越し、デジタルカンパニーへの転換をけん引するプラットフォーム事業化に成功したBICヨーロッパの事例について詳しくご説明いただきました。
ジャンルトップ戦略で変わった社内風土
最後に、同社の「ジャンルトップ戦略」について触れられ、意識を変えるために意識改革活動を行うのではなく、「挑戦するという行動が喚起されたことで社員の意識や行動が変化し、結果的に風土が大きく変わりました。皆さまのご参考になれば光栄です」とのお言葉をいただきました。