これからの生産技術者の役割 あとがき
ものづくりで、前人未踏の地を開拓する
ものづくりは、研究開発というシーズ、あるいは市場のニーズに端を発して、企画―開発―設計一生産技術―調達―製造―販売を経由し、市場へと流れ着く大河に形容される。
いくつもの源流から多くの川が流れ込み、激しくぶつかる岩があり、淀む渕があり、また、時には予想もしなかった大雨に濁流となってあふれ出ることもある。そんな大河が、無事に大海に注ぐように、環境の変化に機敏に対応して流れを管理する役割……それが生産技術の機能である。
さまざまな要素から成り立つ“ものづくりSCM”のなかで、開発・設計という上流と、製造・販売の下流を結びつける結節点で、潤滑油の役割を果たし、構成要素全体で最高のパフォーマンスを発揮できるようにすることが、与えられた課題である。先進的な開発・設計の意図を受けて、先進的なQCDを実現する……生産技術の巧拙が、ものづくりの巧拙を決定する。
環境の変化は激しい。
ものづくりという面で、いまわが国は、世界最高の人件費という逆境の中にある。こうした環境の中でものづくりを続けるという、いわば前人未踏の地に足を踏み入れたのが、日本の製造業なのだ。それを実現できるかどうか……それが生産技術部門に問われている。
先進的なものづくりを実現するために、生産技術は臆病であってはならない。将来を見すえたロードマップを描き、勇気を持ってことに当たろうではないか。