これからの生産技術者の役割【第3部】3. 製品生産マスタープラン(3)
3 製品マスタープランに基づく生産戦略
製品マスタープランと生産マスタープランの連携の必要性について、ここでもう少し詳しく見ていきたい。生産マスタープランとは、生産のプラットフォームを描くことで、事業計画や製品プラットフォームをタイムリーに実現するためには生産プラットフォームを先行的、計画的に作り上げることが重要である。
事業計画を受けて、どの地域にどの商品をどのくらい提供するのか、それに対応した生産能力を確保するには生産拠点・物流拠点・労働力をどのように確保・整備するかを描く。事業計画に対応した材料や部品の調達を行うための外注企業や購入先企業との連携をどのように展開するかを計画することも必要である。
中期経営計画をしっかりと作っている企業はこの点はできているだろう。事業計画が与えられれば、生産部門でもある程度は立案できるが全体最適に繋がるような計画を立案し、効率やコストの厳しい目標を達成している企業は少ない。これを実現するのが製品・生産マスタープランである。
そうした製品・生産マスタープランを作るためには、製品・ユニット・部品・材料レベルの固定/変動化に対して、生産拠点・ライン・工程・作業レベル……で、どのように固定/変動化を実現していけば、もっとも全体最適な低コストの生産構想が描けるかを検討しなければならない。生産技術部門や製造部門としては、それを受身で行うだけでなく、目標コストを達成するための提案なども行うことが必要である。
さらに技術開発をタイムリーに行って製品開発につなげるという観点では、生産マスタープランにはどのような生産技術を開発していくかも明確にすることが必要である。製品マスタープランで設定された製品の機能・性能目標やコスト目標の達成のためには生産技術の先行開発が欠かせない。