これからの生産技術者の役割【第3部】2. 生産技術開発の重要性(2)
2 コア技術の認識と技術ロードマップ
先行生産技術を開発するためには、まず自社の技術を明確にする必要がある。図表3-4にコア技術の認識イメージを示している。
自社のビジョンは何か、そのビジョンに基づき、どのようなドメインで事業を展開しているのか、また、そのドメイン、顧客に価値提供をするためにどのような技術領域のどんな技術を適用しているのかを一度整理してみることが必要である。図表3-4は生産技術に限って整理したものではないが、製品技術を含めてこのように整理することは、コア技術を認識するうえで有効である。
先行生産技術を開発するためには、
- 現在の自社のコア技術を明らかにすること
- 今後どのような技術開発テーマが必要になるかを明らかにすること
が必要になる。今後の技術開発テーマを設定するためには図表3-5に示すような技術ロードマップの展開が有効である。
技術ロードマップは商品を開発するうえでベースとなる計画である。まず、対象とする市場が今後どのようになっていくのかの動向を把握する。市場動向は市場環境や法規制のトレンドを見ながら今後の兆しを把握していく。
市場動向を把握しながら、その市場における顧客のニーズを把握することが必要になる。市場環境の変化や競合他社の動向、法規制から顧客が何を欲しているのかを明らかにして、製品ラインナップ計画を明確にすることが求められる。
また、商品に適用する各種デバイスの開発動向を見極めておくことも重要である。デバイスの中にはショートレンジで機能、性能が進歩していくものがある。これらの動向を見誤ると商品自体が陳腐化する可能性もある。
そうした動向を見極めながら、商品計画を明確にして、それらを具現化するための技術開発テーマに落とし込むことが求められている。技術開発テーマの中には新たな機能、性能を具現化するための製品技術や、工法開発、設備開発に関連する生産技術の開発テーマもある。また、測定技術や評価技術も存在している。人材の採用や育成計画も同時に展開することが必要となる。
さらに技術ロードマップを検討する際は、事業との関連や人材も含めた開発基盤との関連も重要になってくる。