これからの生産技術者の役割【第2部】2. 生産拠点戦略(3)
3 日本に生産拠点をもつ意義
製造業にとって、日本国内に拠点を持つことについては、次の4つの視点で考えられる。
①開発生産型拠点
コア技術を日本で開発し、量産立上げまでのノウハウを養い、これを海外展開する。
②消費地分散型
物流や鮮度などを目的に、消費地に近いところに生産拠点を置く。
③個別受注型
試作ビジネスのように、受注してからのリードタイムが短いため。
④バリューチェーン型
国内のネットワークを使った開発とものづくり。
①、②、③は生産技術とのかかわりは深く、開発と生産技術が連携して、付加価値(企画、品質、リードタイム)をつけていくビジネスモデルである。
近年製造業の多くは、海外に拠点をもって活動しているが、その意味はどこにあるのだろうか。
海外展開をする理由は、安価な人件費、消費地・市場への期待、開発部門が現地に進出することで企画開発と生産を一貫化する……などである。
しかし、かつて1/10~ 1/20であった人件費の差も、例えば中国では上海や広州を中心に上昇し、企業はより西部・北部、あるいは、東南アジア、BRICs、VISTAへと展開している。さらに、品質を確保できない、作業員が標準作業を守らない、保全技術がないために設備を整備できない、日本の生産技術者1人の給料で、現地従業員を100人雇用できる……など悩みを抱える企業も多い。
現在、中国での生産が話題の中心だが、今後、世界人口の半分を擁するBRICs諸国の購買力が上昇した時、中国と同じような状況がおきることが考えられる。