これからの生産技術者の役割【第1部 】1. ものづくりとは(3)
3 ものづくリプロセスに求められるもの
ものづくりの企画~開発~設計~生産技術~調達~製造~販売までのプロセスのうち、企画~生産技術までをイノベーションプロセス、調達~販売までをオペレーションプロセスとして位置づけている。
イノベーシヨンプロセスは新たな価値を創造する企画や新技術、新工法を生み出す開発、企画した内容や技術を具体的な形に落とし込む設計、そして最適な生産ができるように検討する生産準備から構成されている。
一方、オペレーションプロセスは製造に必要な機能・品質・量を最適タイミングで集める調達、無駄なく効率的に生産する製造、それをお客様に届ける販売、アフターサービスを行うサービスから構成されている。
ものづくリプロセスで重要なことは、各プロセスの構成要素がきっちりと仕事をこなすと同時に、一貫・統合した連携で推進されることである。現在は、これらのプロセスにITツールが導入されて、10年前と比較すると開発期間や試作回数は大幅に削減され、開発にかかる費用も削減されてきている。背景には、ツールだけではなく、仕事の仕方や知恵の共有化が進んだことがある。
3D-CAD(3次元CAD:Computer Aided Design)やCAE(Computer Aided Engineering)、各種シミュレーシヨン技術が進化し、ものづくりはデジタル化を抜きには語れなくなってきている(図表1-3)。デジタル化を推進していくためには、デジタルツールの導入・開発が必要だが、その際に最も重要なのはデータの作成である。信頼できるデータが整備されていない限り、デジタル化は進展しない。デジタルツールの信憑性を構築していくためにはデータ構築やシミュレーション技術向上のための機能や体制づくり、また、現場で起こったことのタイムリーな検証やフイードバック機能とその体制づくりが必要になってくる。
具体的には、過去の図面や実験データのデジタル化、データ構築・入力の専任化や、標準化(製品技術、生産技術、評価技術、部品、材料等)、ナレッジマネジメントなどだが、各企業では、こうした活動を通して、イノベーシヨンプロセス、オペレーシヨンプロセスの効率化を図っており、このようなプロセス改革業務の1つに生産技術も位置づけられている。