これからの生産技術者の役割【第1部 】1. ものづくりとは(2)
2 ものづくりとは
従来、「ものづくり」は、製造現場をイメージして語られてきた。しかし、いまやそれでは済まなくなっている。本書では、ものづくりを商品開発全体の企画~開発~設計~生産技術~調達~製造~販売の範囲で考えていく。
ものづくりのねらいは、顧客・企業の双方にとって価値あるものを創出していくことで、こうした点から、ものづくりの狙いを定義したのが図表1-2である。「ものづくり価値:V m」を最大化するためには分子にあたるFを最大化し、分母のCを最小化することが必要になる。
Fの最大化で重要な点は、商品やサービスの水準を上げて顧客満足度や顧客への貢献度を高めることである。そのためにはマーケテイングのレベルを上げ、的確に顧客のニーズを捕らえ、そのニーズを具現化するための独倉1的な技術開発を展開していくことが求められる。また限られた期間でねらいの商品水準を実現するためには、企画~開発~設計~生産技術~調達~製造~販売の各機能が目標に向かって一貫推進できるプロジェクトマネジメントの展開が不可欠になってくる。
一方、分母のCを最小化するには商品開発で発生するすべての費用に着目し、最小化する努力が必要である。このためには各機能が効率的な業務推進を展開すると同時に連携し、製品構造、生産構造を革新することも必要となる。