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オープニングセッション講演録②
IVI 西岡靖之氏
『ゆるやかな標準による製造業のオープン&クローズ戦略』

こんにちは、日本能率協会ものづくり総合大会事務局です。

本日は、法政大学 西岡靖之教授の講演録をご紹介します。
2月15日のオープニングセッション第1回目は、法政大学西岡教授にご登壇いただきました。

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IoTに関して、しっかりとした戦略を実行しなくてはいけないという危機感を各社が持っている反面、具体的な議論がされてないというのが現状です。
オープンにする面と、クローズにする面の棲み分け等、実際にどうすればよいのかと頭を悩ませている企業様も多いと思います。そうした中で、具体的な施策のヒントになればというお言葉で講演は開始しました。

講演ダイジェスト
・『IVI』とは?
・『IoTとはそもそも何か?』
・『IoTを活用する場面とその方法』
・『オープン&クローズ戦略』

『IVI』とは?

IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ)は、『デジタル化が進む現代において、日本のものづくりはどうあるべきか』という概念について日夜議論しています。1社単独で可能なことには限界があるという認識をもち、工場と工場・会社と会社が繋がったデジタルな世界を、企業や業界の枠を超えて実現することを目的とした組織で、繋がることが生み出す価値を共に生み出すために、協調・競争のバランスのとれた持続可能な発展のためのエコシステムを先導しています。
IVIのキーコンセプトは、
①人とシステムの協調と共生、②現場中心のボトムアップ連携、③個を活かす緩やかな標準です。
世界各国の他の同様の取組みと比べると、ドイツのIndutrie 4.0は生産装置メーカーを中心とし、マスカスタマイゼーションに力を入れていることに特徴があります。また、アメリカで推進されているIICは、IT企業を中心とし、ビッグデータの活用を推進することを大きな目標としています。
一方でIVIは、ものづくりの現場を持つ企業を中心として、先述のような活動しています。会員企業は200社以上にものぼり、今年度は地方の中小企業にもセミナーを実施するなど、企業規模にとらわれない協調を目指しています。

『IoTとはそもそも何か?』

本日の講演は、『IoTとはそもそも何か?』といった基本的な知識に関する解説からスタートしました。
IoTのゴールは『自動化(Automation)ではなく、自律化(Autonomation)』であり、ここで述べる自律化のゴールは『無人化ではなく人との協調』であると西岡先生は定義します。また、昨今IoTと同様に話題に上るAIですが、AIは『ヒトが努力して判断できることを場所や人に関係なく再現可能にはするものであり、ヒトより高い能力を持つわけではない』と述べました。

また、IVIが提唱する『繋がる工場』とは、繋がるのは蓄積された知識ではなく、今まさに現場で起きているコト(事象)であり、結果としてヒトが超高速に判断できることが可能になる。ただ繋げれば良いという単純な話ではないと注意喚起しました。
その上で、『AIが学習する(ディープラーニング)』とは、蓄積された多くのデータを標準化しながら知識に落とし込んでいくケーススタディであるということ、データの蓄積には、どのデータを繋げるか?取り出すか?等々多くのポイントで人間が判断していく必要があるため、あくまでヒトが中心であるということ、『作業の自動化はIoT、判断の自動化はAI』と整理しながら適宜使うことが大切であると述べました。

講演では、IoTが今後普及することでどのように私たちの生活が変わるのかということに関しても触れられます。モノとモノが繋がることで、大きく便利になることはさほどないと考えられていますが、機能の提供のされ方・企業と消費者との関係性が現在から大きく変わる可能性は否定できません。例えば、現在は家電を購入する際に一括で購入費用を支払いますが、今後は購入時に支払う金額は6万円のみ、その後利用する段階で追加課金が発生する、という支払い方式になる可能性もあります。

『IoTを活用する場面とその方法』

こうしたIoTを工場の生産現場で活用する場面はあるのでしょうか?
工場の中には多くの工程があり、それぞれのコストがトータルで一つの製品に負荷されていますが、モノが売れない場合、そのコストを工場はどのように負うかが問題になります。
そうした場合に、ものづくり企業が製品の生産プロセスを水平分業することが可能であれば?顧客のニーズ(コト)のサービス化が可能になれば?といった視点から日本の製造業において、IoTを活用する場面、メリットは多いということを述べられました。

具体的にIoTは、工程のどのような場面で使うことができるのでしょうか。
講演では、品質保証や故障予知、設備管理等の場面で活用できると例を挙げていました。
そのなかで、工場の現場には「ビッグデータ」と「ディープデータ」があり、製造業は、後者の「ディープデータ」を活用するべきだと述べています。
ここで言う「ディープデータ」とは西岡先生の造語で、ビッグデータのように多岐に渡るポイントの情報を膨大な量集めるのではなく、必要なポイントにセンサーをつけて、深く解析をすることで得られるデータを指します。
ITの先進地であるシリコンバレーの手法を踏襲するのではなく、日本の製造業ならではのデータの活用方法を模索する必要があると注意をしたうえで、現場は競争力の源泉であり、活かせる場面は多々あるということを示唆しました。
また、そうしたデータを活用するにあたっては、データを活用して外部と連携することで、ダイナミックに新しい機能を獲得することができるような、スマートなものづくりシステムやデータをつなぐうえでの国際的な基準が求められるということを訴えています。

『オープン&クローズ戦略』

最後に、本講演のメインテーマであるオープン&クローズ戦略についてご講義頂きました。企業がIoT化を進める中で危惧していることは、様々な情報をデータ化することでノウハウの流出の危険性が高まることです。この懸念点があるからこそ、日本の製造業は自前主義を大切にし、自企業の情報を長らくクローズにしてきました。
西岡先生は今回の講義で自前主義のメリットとデメリットを整理したうえで、いい点、悪い点の使い分けが大切であるとしています。

シリコンバレーでは盛んに、オープン戦略がとられています。
それは、ノウハウを開示することで仲間を呼び込み、全員がWinWinになるようなエコシステムをつくりたいという思いによるものです。日本においても、IVIにおいてもそのようなエコシステムを実現させることは可能か?そのためには必要なこととして、企業間が繋がるための仕組みをしっかり設計する必要があるとしています。その際にクローズにすることはデータの値そのものと、ロジックであり、フォーマットはオープンにする必要があると述べました。
現在、IVIには、知財を守るプラットフォームが8つ存在しています。この8つそれぞれに共通することは、「つながる工場のための仕組みであること」、「ものづくり企業の価値を最大化すること」、「構成するコンポーネントについて、オープンな使用に基づくエコシステムとする」、「企業データの所有者は企業自身とする」の4つです。

また、IoTのメガトレンド2045として、
『2025年まではセキュリティが、2035年まではトレーサビリティ。2045年になると、誰がデータの責任を取るか?というライアビリティの問題となる』としたうえで、IoT時代の本格的到来は少し先であると述べました。

今後企業がIoT化をより推進していくためには三つのステップを経る必要があります。
まず第一に企業内部のIoT化(コトのデータ化)を行うこと。
そして、第二に外部連携のIoT化(社外のやり取りをシームレスにデータ化)を完了させること。
そ最終段階として、企業に内部と外部の統合化(社内を高率な単位で分割し、外部化し、異なる規模の企業が同規模でハイパフォーマンスを実現させること)をさせることです。
ものづくり企業のみならず、モノを介したサービスを提供する企業とも自律的なつながりを実現するべく、各企業が今一度各社の戦略を見直す必要があるということを述べ、講義は終了となりました。


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