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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

243 ノコギリ屋根いろいろ

ノコギリ屋根とは、屋根の一形式で、三角の屋根が片流れでノコギリの歯の形に似てぎざぎざになっているものを言う。
三角屋根の垂直の部分が、光を取り入れる天窓になっていて、主として紡績・撚糸・綿布・織物・染色などの工場建築に用いられる。
ルーツは、1827年に作られたイギリス最古の紡績工場、MOSCOW MILLといわれる。
同工場はいま、当時の姿で資料館・生活雑貨のショッピングセンターに改装されていて、ノコギリ屋根の天窓から差し込む自然光で、爽やかな空間が演出されているという。

 日本では、1883(明治16)年の大阪紡績工場が最初とされ、その後、各地の繊維関係工場で利用されてきた。
桐生にはいまも200棟を超える工場が残されており、愛知県知多半島の東浦周辺、山梨県富士吉田市、新潟県五泉市などにも見られる。
 もともと、ノコギリ屋根が利用された理由は、採光である。イギリスの最古の紡績工場が操業したのは、エジソンが1879年に白熱電球の実験に成功する50年も前のことだから、作業をするための採光用天窓として考えられた。

桐生のノコギリ屋根は北向きが多い。染色などの微妙な色を終日で安定して判別するためには、陽光にあまり左右されずに終日、均一な光を得る事が重要で、採光用の窓を北に向けておくことでそれが可能になる、ということのようだ。

では、どこでも窓は北向きかと言えば、中には三河木綿の工場のように、南向きで陽光を取り込んでいる工場もある。この場合は、工場への採光が目的で、仕上がり面の色は問題にならないのだろう。

 ひと口にノコギリ屋根と言っても、
・壁:木造、石造、レンガ、鉄骨、
・素材:瓦、スレート、鉄葺き、
・さらには屋根の傾き、方向
とさまざま。
地域による変化もあり、旅する先でそうしたものを確認しながら回るのも楽しい。
写真は桐生市内で見つけたノコギリ屋根のいくつか。
あなたはどれだけバリエーションを見つけられますか?
 ちなみに、このノコギリ屋根、英語では、saw-tooth roof(ノコギリ歯屋根) とまんまですが、この呼び名は建築学会が建築語彙編纂委員会で検討を重ね、「建築雑誌」1911年8月号で発表したものだそうだ。
ノコギリ屋根の工場はもう一つの呼び方として、north-light shed(北明かり工場?)もあるらしい。
形で呼ぶか、用途で呼ぶか、それによって呼び方が変わる、合理的なのか、自在なのか。
長い伝統をもつフォルムが、形だけでなく、機能も含めて、生活・地域に密着していたという証拠でしょうか。面白いですねえ。

 ・1896-2.jpg

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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