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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

232 旧桐生高等染織学校関連施設(現:群馬大学工学部同窓記念会館)

桐生の産業遺産の旅をはじめるには、町の北から南に下ってくることにしよう。

天満宮から、道なりに北に進むと、すぐに群馬大学工学部の入り口がある。

正門を入ったところにかわいらしい守衛BOXがあり、守衛さんがいるので、「同窓記念会館を拝見させてください」と断って入ろう。

同窓会記念会館は、大正4年に建造、5年に開校された旧桐生高等染織学校の本館と講堂で、1972(昭和47)年に現在の場所に移転・復元されたものだ。

同校は、色染化学、紡織、応用科学の3学科を持った県内唯一の実業専門学校として開校した。

その後、昭和9年に機械科と電気科を増設して桐生高等工業学校と改称し、戦後、群馬大学工学部となった。

桐生には明治の末に県立織物学校があり、地元織物産業と結びついて豊富な人材を送り出してきたが、大正時代に入ると、ものづくりを一歩進めて技術開発を担当する人材の育成が求められるようになり、高等教育機関の設立の動きが出てくるようになってきた。

こうした動きは、まさに国が求めていたものでもあり、地元織物業界からの強い要望をうけて生まれたのが国立染色学校だった。中等教育から高等教育へ、時代の流れでもあった。

構内に入って2、30メートルの所に群馬大学工学部同窓記念会館があるが、その前に守衛所を見ておこう。

こぢんまりとした木造平屋建てだが、侮ってはいけない。この建物も、大正5年に作られた旧桐生高等染織学校の門衛所で、構造は本館と同じである。

小さいだけに、メルヘンタッチで学生や市民にもなかなかの人気なのだ。

本館と講堂は、木造総2階建て、下見板張りペンキ塗で木骨を外に出している。中には当時の椅子や机も残り、大正時代の雰囲気を残している。

天井は壁から出た梁の上にさらに梁が乗るハンマービームと呼ばれる左右対称の構造で教会のような雰囲気をかもし出している。

建物は保存もよく、映画などのロケにも使われている。

数年前に人気だったNHK連続ドラマ「花子とアン」でも、花子が入学した学校のシーンなどに使われていて、その重厚な雰囲気は、明治時代にタイムスリップさせてくれる。

講堂の正門は、煉瓦造りの門柱上部四面にゴシック風の柱頭飾りがあり、歴史を感じさせる。

日本の特徴は、産業が発達すると学校を作る点にある。

ねらいは研究開発と後進の育成だ。産業人が、好況を享受するだけでなく、次の世代の育成を心掛ける。

教育をいかに重視しているかは、重厚な学校の作りを見ても分かる。守るべき伝統のひとつだ。


大正5年に建造された旧桐生高等染織学校の本館・講堂。左右シンメトリーで軽快ながら重厚な雰囲気を出している。国登録有形文化財


正門、赤煉瓦と鉄の組み合わせが権威を感じさせ、重厚さを出している。


トビラに入れられたワンポイント。


講堂の内部。落ち着いた雰囲気で、使われていた時代がしのばれる。


門衛所。小さいけれどいい雰囲気を出している。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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