ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

229 桐生--ノコギリ屋根織物工場の町

右に少し傾いたひし形をしている群馬県の下辺中央に富岡があるが、桐生市は、群馬県の下辺東部に位置し、上毛電鉄でつながっている。人口は約11万人。

古くから機織りの町として栄え、早くから京都西陣の機織り技術を導入してきた。

江戸時代には絹市が開かれて繁栄し、明治時代になると新しい機械が導入されて、機織りの街として戦前から戦後にかけて、日本の繊維輸出を支える重要な町として産地を形成してきた。いまも日本を代表する機業都市である。

街を歩けば、明治から昭和の初めにかけて作られた機織工場のノコギリ屋根が目に入る。工場としてそのまま稼働していたり、モダンな店舗に改装されていたり、街のシンボルとして独特の景観を生み出している。

桐生・足利の歴史をひも解けば、奈良時代(710-794年)には上野の国から朝廷に、「あしぎぬ(絹布)」が献上されたという記録がある。

また、十世紀初めに編纂された「延喜式」にも、上野・下野などの国に生糸や絹布が税(租庸調の「調」)として課せられたと記されている。

こうしたことから、中世以降、江戸時代から近代にかけて、北関東では桐生を核に地域ごとに繊維を主ななりわいとする大きな特徴を持った産地が形成されてきた。

たとえば、北西部の山沿いの碓氷・六合(くに)・下仁田・南牧・前橋・高崎・富岡・藤岡などの地域では養蚕・製糸業が盛んになり、その東にあたる、伊勢崎・桐生・足利・佐野・館林などの地域では撚糸、染色、機織業が発達した。

特に桐生、足利を中心とした地域は、江戸時代から機織を行う家が多く、この辺り一帯が繊維産業の集積地となっていた。

この両地域が江戸時代に発達した一つの要因は、渡良瀬川を経由して江戸とつながる水運があったことが大きい。

倉賀野(高崎)が上信越の物資を江戸に運ぶ水運の拠点だったことは第1回目にご紹介したが、東の桐生・古戸河岸、足利・猿田河岸(やえんだかし)もまた、渡良瀬川-利根川-江戸川と経由して、東北からの物資を江戸に運ぶ輸送の拠点になっていたのである。

マスコット、ゆるキャラはのこぎり屋根の「キノピー」

これをお読みになるような方は、桐生が古くから織物の産地で、上毛地区は北関東の経済をリードする都市であるということはご存じだろう。そこで質問です。

キノピーってご存知ですか?

最近はゆるキャラブームで、ふなっしー、くまモン、ひこにゃん・・・などよく知られたキャラがありますので、ご存知の方も多いかもしれませんが、実は、キノピーは、桐生市のゆるキャラで、モチーフはなにか?が次の質問です。

はい、答えを出してしまいましょう、実はキノピーのモチーフは、なんと、のこぎり屋根なのです。

2011年、桐生市が市制施行90周年を記念して公募したコンテストで採用されたもので、桐生市の近代化遺産であるノコギリ屋根の工場をモチーフに、市章や渡良瀬川などの豊かな水資源や自然の緑を盛り込んだ元気いっぱいのキャラクター・・・だそうす。

ゆるキャラのデザイン公募で、のこぎり屋根をモチーフにしたデザインが出てくるというのは、それだけ市民の中にものこぎり屋根のイメージが強く印象に残っているということでしょう。それだけでも、桐生市民にとって近代化遺産であるノコギリ屋根の工場=繊維産業が生活に密着しているのですね。

このキノピー、桐生市のキャラクターに認定され、特別住民票が発行されているそうです。

明り取りのガラスがはめられた三角屋根が織物工場の特徴で、桐生の町の中にまだいくつか残されている。

のこぎり屋根の北向きの面が多い。陽光が差し込む南向きの面と比較して北からの明かりは終日、大きな変化もなく、柔らかな光が得られるという。染色工程などで、微妙な色の仕上がり具合を確認するには、川乱売明かりが必要だという。

2011年、桐生市市制施行90周年を記念して選定されたキャラクター。頭の3つの三角がのこぎり屋根を象徴している。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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