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ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

225 蚕から絹製品までの流れ

蚕が繭を作り、そこから糸をつむいで繊維製品になるまでには、いくつもの工程を経て、多くの人が関係している。
おおよその流れは、図1のようになっている。

(1)蚕の卵を育成し、種紙に植え付けて販売する蚕種製造業
(2)そこから蚕の種を購入して繭を作らせる養蚕業
(3)できた繭の品質を検査する検定機関
(4)繭を購入して糸を紡ぐ製糸業
(5)作られた生糸の品質をチェックする検査機関
(6)生糸を購入して撚糸業者に販売する生糸商社
(7)繊維に織るために糸に撚りをかけて、指定の太さの糸を作る撚糸業
(8)完成した糸をつかって、繊維を織る機織業
(9)織られた繊維を染めて色を付ける染色業
(10)完成した繊維を販売する繊維商社
(11)繊維を購入して繊維製品・衣料品を製造するアパレル企画・縫製業
(12)完成した繊維製品・衣料品などを販売する小売店

この間に周辺では、蚕の種苗を研究開発する業者や機関、繭の検定を行う機関、生糸を鑑定する機関、桑苗を扱う業者、養蚕道具を製造する業者、製糸・撚糸・機織・染色・デザイン・裁断・縫製機器などを開発・製造する業者など、さまざまな人々が携わって一大産業となり、繊維・アパレル業界を形成している。
図で見ると、
・荒船風穴・星見風穴は蚕種製造業から委託を受けて蚕種の保存を行う会社、
・田島弥平は蚕種の開発と養蚕業、
・高山社は養蚕業と養蚕法を研究教育機関、
・富岡製糸場は製糸業者
ということになる。

図1 絹繊維生産の流れ

■絹生産に合わせて品種改良
ここで簡単に、蚕が絹糸を吐き出すまでの養蚕の流れをおさらいしておこう。
蚕=カイコは、学術的に言えば、チョウ目、カイコガ科の昆虫で、和名は「カイコガ」。桑の葉を食べて成長する(図2)。
最近は人工飼料も開発されているが、少し前までは飼料として桑の葉だけが使用されていた。
カイコガは成長が早く、卵から孵化した後、3-4日で脱皮を繰り返し、5回の脱皮を経て(5齢という)、3週間ほどで口から糸を吐き出して繭を作り始め、2週間弱で脱皮・羽化して産卵する。

卵は、そのまま置くと気温の状態によって9-14日ほどで孵化するために、冷たい環境で保存し、養蚕時期に合わせて孵化させるという方法が行われている。
かつては、孵化したカイコを入手して養蚕を始めたが、近年では、3度めの脱皮(3齢)までは病気にかかりやすいことから、3齢までは養蚕共同飼育所で飼育し、その後養蚕農家で行うのが一般的になっている。

絹糸を作るためにカイコを飼育することは古い時代から行われており、高品質の絹糸生産のために蚕種の品種改良が行われてきた。
そのため、カイコは自立能力を失っていて、自然界では生育できない。幼虫は草を掴むことができず、羽化して羽はあっても筋力がないので飛べない。
人間の助けがあって初めて生きのびることが可能な昆虫なのである。こうしたことから、カイコが家蚕(かさん)と呼ばれるのはそのためである。

図2 蚕の一生


カイコは桑を食べて何度か脱皮を繰り返し大きく成長していく。


最終的の繭をつくる。品質の良い繭は順白である。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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