ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

223 甘楽社小幡組の繭倉庫

この道をさらに先に進むと、赤レンガ造りの甘楽町歴史民俗資料館がある。
かつて西上州では、養蚕農家が集まって組合を作り、繭を集めて運営する製糸工場がたくさんあった。
組合製糸工場と呼ばれるものだが、そうした製糸工場の面倒を見ながら、養蚕農家に蚕種を販売したり、作られた生糸を撚糸工場に販売したり、また、養蚕道具などを扱ったりする組織が作られていた。
その代表的な一つが、甘楽社である。かなり広い範囲で繭種を販売し、出来上がった繭を集めていたようで、絹井さん関連で取材すると、かなりのところでできた繭をここに持ち込んでいた、という話を聞く。

いま、甘楽町の歴史民俗資料館として使われている赤レンガの建物は、2階建ての瓦葺きで床面積289平方メートル、大正15年に作られた旧甘楽社小幡組の繭倉庫である。
ここのレンガは富岡製糸場と同じもののようで、笹森神社近くで焼いたレンガがここにも流用されたようだ。時間的にかなり間があるので、修理や予備用に残しておいたものが使われたのだろうか。積み方は長手と小口を一段ごとに重ねたイギリス積みである。
入り口や横の窓を見ると、上が平らになっている。まぐさ石と呼ばれる構造になっている。横の部分は特徴的で、まぐさ石の上に、レンガの小口を縦に並べるという独特のデザインになっている。レンガを縦に使うというのは、この辺りのデザインとしては独特で、ほかにはあまり見ない。
しばらく前までは、ここで養蚕作業も行われていて、1階には、その時の資料等を中心に、養蚕のプロセスを示す資料が展示されている。
繭玉なども置かれており、蚕から繭、そして生糸に至る流れがよく分かるようになっている。
建物は平成19年には「近代化産業遺産」として認定され、「群馬絹遺産」にも認定されている。
奥の部屋には、笹森稲荷神社に奉納されていた製糸場のレンガづくりに際して、韮塚直次郎が祈願・奉納したという絵馬が展示されている。
ここで養蚕、製糸などのイベントも行われているのでご興味のある方は事前に確認していかれるといい。
「甘楽町歴史民俗資料館」で検索されると、連絡先が分かる。


赤レンガの旧甘楽社小幡組倉庫(現甘楽町歴史民俗資料館)。養蚕道具などが展示されている。


資料館には、養蚕の様子が展示され、繭玉などをみることができる。


窓の上部に横たわる石が置かれていて、その上をレンガの小口を縦に並べて見せている。まぐさ石は古代の建物に良く用いられる構造だが、こうした小口面を並べて見せるデザインは珍しい。この絹井案の煉瓦造りの中でも目立った特徴といっていい。


韮塚直次郎によって笹森稲荷神社に奉納された絵馬。いまは、甘楽町の歴史民俗資料館(旧甘楽社小幡組倉庫)に展示されている。大きさは、160cm×80cmほど。


資料館にあるポスター「蚕の大敵 蠁蛆(うじ)を絶やせ 一匹の蠅を逃がせば 桑葉三千に産卵し 繭約六円分の損をする」。いつ頃のものだろうか。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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