ものづくり 日本の心

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。
発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

215 現代に生きるだるま窯――五十嵐清さん

 富岡製糸場のレンガや瓦を焼いただるま窯は、現在では営業を続けているのは全国でわずか3基になってしまった。
そのうちの2基が藤岡市の共和建材有限会社にある。

「いったん火を入れると、監視しながら2日間炊き続け、その後、火を止め、煙突を閉じて密閉し、お湯を注いで、数日間、いぶしながら冷えるのを待つ。ちょっとしたことで、瓦が変化するので、気が抜けません。大変な重労働です」

と代表の五十嵐清さん。
だるま窯で火を巧みに操って質の高い工芸作品を生むことから、人呼んで「炎の匠」。

一度に焼ける瓦は約1千枚。1週間かかるので、焼いている間に次の型を取り、天日乾燥させて、準備作業を行う。2基を回転させて瓦を生産するが、休む間もない。
かつては3基の窯を回転させてフル操業だったが、今では2基を回転させるのが精いっぱい、それでも生産が追い付かず、受注残がたくさんあるという。

 だるま窯は50年ほど前までは、どこでも使われていた窯だが、1回の生産量が少ないために、連続生産できる窯にとって代わられて、コスト競争位に勝てず、一つ二つと消えていった。
しかし、連続的に焼成がおこなえる窯と違って、手の加え方で仕上がりに変化がもたらせるだるま窯は、瓦だけでなくタイルなどにも利用され、工芸的な味が出せると、五十嵐さんの瓦のファンも多い。
いま、だるま窯の特徴を生かして創作瓦をつくるクリエイターからの注文が殺到しているという。確かにそういう味のある瓦の需要があるのはわかる気がする。
 富岡製糸場のレンガを焼いた技術を伝えるだるま窯、いつまでも現役でいることを祈りたい。


中央が瓦を炉内に入れ、取り出す戸口。盛られた土の左右に焚口がある。を入れる手前と向こうに火入れ口がある。


窯の中。蓋を開けて、戸口から中を覗いたもの。


代表の五十嵐清さん。背後にあるのは、だるま窯の手作りの良さを生かして五十嵐さんが焼いた作品。量産品というよりも、顧客の要求に応じた仕様にあわせて作る、タイルやプレートなど工芸品としての価値が見直されている。展示会、作品発表の日程などが決まっていて、タイトな仕事に追われ、もっとゆっくり仕事がしたいとぼやく五十嵐さん。


だるま窯で焼かれた瓦は、水に浸けてもすぐに乾く。瓦が濡れないから苔がつかない。


窯で焼く前に、陰干し、天日干しが行われる。こうした前工程も、仕上がりに重要な影響を持っていて、一つ一つのていねいな作業が瓦に命を吹き込む。


瓦は型をつかって成形するが、焼成による瓦の曲りや形を考えて、一つずつ専用の台をつかって整形処理をする。仕上がりに影響するだけに重要な工程である。手で支える型の下部は、握る作業ですり減っている。

梶文彦 写真

梶文彦氏執筆による、コラム「ものづくり 日本の心」です。

梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています。

写真撮影:谷口弘幸


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