ものづくりグローバル標準マネジメント導入のメリット
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第4章 ものづくりマネジメントを支えるグローバル標準マネジメント(GPMS)の実践
(GPMS :Global Production Management Standard)
4)ものづくりグローバル標準マネジメントを導入してのメリット
A社は「5年後の売上げ2倍」を目標に、ものづくりグローバル標準マネ ジメントを導入した。
当初は、2倍など夢のまた夢、と考えていた目標が、3ヵ月間の営業、開発、生産部門一体となっての検討により、夢ではなく、 手に届く目標へと変わってきた。
そして、この売上げ倍増戦略展開表をベースに、来年度の売上げ1.2倍目 標への戦略ストーリーと事業戦略展開表が明確化された。
1年目の施策を進 めるプロセスで、それまでなかった新しいマネジメントサイクルが回り始め、現在、担当者クラスから経営幹部まで2倍への手ごたえを感じてきている。
経営幹部からみた、導入のメリットは以下のように分析されている。
①事業戦略展開表作成を通して、営業、開発、生産他の部門が事業部とし て一体となって、競合に勝ちぬく体制を固めることができた。
②事業戦略展開表によって、目標と施策が戦略ストーリーに沿って見える化されたため、事業環境変化に追随するための変更箇所が明確にされ、迅速な対応が可能になった。
③事業部長が、「営業部長」から「本来の事業部長」に変革してきている。
本マネジメントを通して経営感覚が磨かれてきていることをみると、将 来の経営幹部としての能力醸成に大いに役だっている。
④各施策を実行するにあたり、担当者クラスがその必要性を十分認識でき るようになったため、自ら積極的に行動するようになった(自律化)。
⑤各事業部の戦略ストーリーが見える化されたため、ウイークポイントも 明確になり、経営幹部メンバーも自らどんな行動をとるべきか考えるこ とができ、担当者クラス、ミドルマネジャークラス、事業部長クラスと 一体感を持って事業運営ができるようになってきた(図表4-8)。
A社は本マネジメントを導入したばかりで、まだまだ十分な活動ができているとは言えないが、それでもこの数ヵ月間で上述のような変化が出てきている。
もともと目標管理、方針展開が形式的にしかできていなかった企業が、大きくマネジメントを飛躍させてきているのだ。
常に競争にさらされている厳しい事業環境ではあるが、今後の海外展開含めて売上げ2倍の手ごたえを従業員は感じ取ってきている。
始まったばかりの活動だが、新たな企業への飛躍を目の当たりにするのは、それほど遠い日 ではないと感じる。
ちなみに、本マネジメントは、現在複数社で推進されている。
参考までに、いくつかの導入企業の概要と推進内容を図表4-9に示す。