年度戦略への展開
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第4章 ものづくりマネジメントを支えるグローバル標準マネジメント(GPMS)の実践
(GPMS :Global Production Management Standard)
3)売上倍増戦略展開表と年度戦略展開表
(1)年度戦略への展開
ここまでは、「売上倍増」を目指した事業戦略展開表の作成に関して紹介してきた。
次にやるべきことは、この事業戦略展開表を年度の事業戦略展開 表にばらすことである。
5年後に2倍の売上げを目標にしているが、そのために来年はどこまで到 達する必要があるのかを、検討しておくことが必要となる。
そこでA社は、売上倍増戦略展開表の検討を3ヵ月間でいったん区切り、そこまでに全体の20%程度の施策を具体化させる目標で検討を進めてきた。
事業部によりばらつきはあったが、おおよそ各事業部とも20%程度の施策 は具体化できたため、その施策を中心に2年目の事業戦略展開表を検討し、具体化を図った。
2年目に関しても、前述の4つの方向性に関する戦略スト ーリーを検討して戦略展開表の検討に入っている。
このように、売上倍増戦略展開表は、随時新たな情報を加味して毎年継続 して検討し、具体化施策の比率を上げていき、その時点での具体化施策を中 心に翌年度の事業戦略展開表を策定していくようにしている(図表4-5)。
ちなみに来年度の売上目標は、1.2倍に設定された(1.2の4乗=2.0736倍に なる)。
また、年度戦略展開表とあわせて、実行計画書と売上実績管理表を作成している。
実行計画書は、「目標」と「成行き」のギャップが大きいターゲットや、 関係者の連携が必要な施策、施策の実施事項が多い施策、重点的に進捗管理 が必要な施策に関して作成し、より精度の高い進捗管理が図れる仕組みにし ている。
また、このような施策は、実行計画書を作成する段階でも、さらなる検討事項が発生することも多く、結果的に実行計画書を作成することで、 施策自体をより具体化させることができる。