ものづくりグローバル標準マネジメントの実践事例
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第4章 ものづくりマネジメントを支えるグローバル標準マネジメント(GPMS)の実践
(GPMS :Global Production Management Standard)
ここでは、具体的にものづくりグローバル標準マネジメントを推進して、全社一体で事業成長戦略を実践している企業の事例を紹介する。
1)5年間で、売上2 倍戦略を展開する生産財メーカー
ここで紹介する企業は、売上2倍を5年間で達成しようという生産財メーカーA社(売上約1,500億円)で、そのために「ものづくりグローバル標準 マネジメント」を活用し、研究所、開発、営業、生産、購買、物流部門が一 体となって推進している。
5年間で売上2倍というのは、A社としては、創業50周年を迎えるにあたって大きな飛躍を期し、同時に次期経営者候補を徹底的に鍛えるための目標設定でもあった。
ただ残念ながら、この目標を掲げた当初は、誰もがお題目と思い、本気で 取り組もうとする者はいなかった。
経営企画部門が、何回かの合宿を企画し、その中で売上げ倍増検討会を開催したが、事業部長クラスでさえ本気で取り組むメンバーは無く、ただ時間だけが経過していった。
こうした中で、経営幹部が「ものづくりグローバル標準マネジメント」に出会い、導入を決定したのである。
先にも書いたとおり、本マネジメントは、 戦略目標を達成するために、市場環境、競合状況などを踏まえた施策を、企業内の全機能部門が知恵を出し、連携して推進していくものである。
特に、売上倍増戦略を見える化し、関係者が一堂に会して成功への道筋を 日常的に検討できる点が、従来のマネジメントにはない大きな変革点であった。
2)事業部別の売上2 倍戦略と、事業部横断開発テーマの設定
(1)全社で売上げ倍増戦略を共有化する
図表4-2が全社の展開体系である。
目標は「販売戦略目標」だけでなく、利益を創出するための「原価改善目 標」、「CSR、環境目標」も経営計画に沿って設定している。
また、各機能部門の中でも特に売上倍増に関係の深い、営業、開発(研究 所含む)、生産(海外、国内の生産子会社含む)部門に関しては、目標達成 のためにやるべき施策、変革すべきシステムなどを詳細に明確化し、どの目 標のために、どの施策、どの変革課題を実行するのか1対1で対比できるよ うにしている。
このことにより、従来大ざっぱに設定されていた目標達成のための施策を、個別目標ごとに明確にする必要が出て、関係者の知恵を結集 する原動力となった。