今後の製造戦略のあり方
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第3章 製造戦略構築と戦略実践のポイント
4)今後の製造戦略のあり方
(1)戦略的考察結果を出す
今後の製造戦略に求められるのは、
①グローバル競争市場における競争相手に対して、
・ものづくりの複雑化をどう抑止しながらバリエーションを成立させるのか
・競争条件の高度化にどう対応するのかを時間軸とグローバル展開ならではの変数を考慮していくということと
②ローカル競争市場において競争相手に対してものづくりのローカライズをどこまで追及していくのか
という2つの点で戦略的に考察し、結果を出すことにある。
(2)戦略策定の方法を変える
今後の製造戦略は、戦略的であればあるほど解を出すことが難しくなるため、関連部門を含め時間をとって、統合的に、検討することが必要となる。
従来型でよく見受けるのは、「大きな方向性はこうです。あとは検討グループを機能単位に分けて進めましょう。グループは調達、生産システム、生産管理システム、物流、生産技術に分けて進めていきましょう」という分業分担形式である。
この方式は、QCDなどの個別機能の目標達成を図るにはいい進め方であるが、全体最適を求める今後の製造戦略の検討に適したスタイルとは言い難い。
ここで必要なのは、競合他社や先進事例などを交え、競争に打ち勝ち、どのように最終的な売上や利益目標を達成するのかを統合的に検討することである。
単純に、「Dellモデルを採用しよう」とか、「4極開発・生産体制」、「サムスンに学べ」というような飛びつきやすい事例に飛びついてはいけない。
競合が日系以外のアジア圏企業であれば、日本製造業とは異なる戦略を持ち込んでいるはずなので、相手の基本戦略をよく理解し、いままでの自社の戦略を振り返り、どのような基本的な戦い方が求められているのかをしっかりと見極める必要がある。
欧米系企業であれば、欧米系企業ならではの戦略を前提とした最新情報での理解が不可欠となる。それを、類似事例などで検証し、成功のポイント、失敗のポイントを学び反映させるのである。
(3)戦略策定の体制を整備する
上記のような検討を行うには、主幹部門が必要となる。主幹部門では、分業分担統制するのではなく、検討の場作り、戦略参考情報の収集と評価、企業戦略・事業戦略の理解と製造サイドからの考えのすりあわせなどを行うことが求められる。
これは、常設部門でなくてもよいが、戦略を検討する際には機能として必要なものと考える。