従来型製造戦略の3つの問題点

ものづくりグローバル標準マネジメントの実践 
第3章 製造戦略構築と戦略実践のポイント

2)戦略は個別化、実践は標準化・共有化

 現在、多くの企業では、企業戦略や事業戦略から提示されるQCDレベルの目標・目的に対して最適化の方策を検討し展開するという、いわば戦術展開的な製造戦略がとられている。
しかし今日では、解が見えないところに解を求めていく、きわめて戦略性の高い製造戦略が必要になっている。  

 言い換えれば、企業・事業の背景、バリューチェーンにおける能力、自社の規格・基準などを踏まえて、まったく個別・独自の製造戦略が必要になっているのである。 
 そして、戦略の重要性が高まれば高まるほど、その実現スピードがものをいう。
戦略策定時の情報はどんどん陳腐化するし、条件もどんどん変わっていくからである。
戦略展開・実践の速度を上げる方法を予め標準化・共通化しておくことが必要になる。
よって、「戦略は個別化、実践は標準化・共通化」が必要となるのである。

3)戦略は個別化、実践は標準化・共有化

(1)従来型製造戦略の3つの問題点

 整理する意味で、ここで、従来の製造戦略とは何だったのか考えてみよう。
従来型の製造戦略も競合に対する製造戦略であったことには変わりはなく、ただ、複雑化が進んだために、考慮するべき変数が増えただけではないかという意見もある。 
 しかし、製造戦略の基本概念を、いまや古典となったW・スキナー「製造戦略」(1983年))の概念で捉えた場合、いくつか異なる点がある。 

 ①戦術展開的な戦略 

 第一の違いは、製造戦略の位置づけである。
前項で書いたように、従来型の製造戦略では、最上位に企業戦略、次に事業戦略、そしてそれらに従属する形で機能戦略としての製造戦略があり、企業戦略や事業戦略からQCDの目標が提示され、その数値目標をいかにして達成するのかが問われていた。
つまり、戦術展開的な戦略だったのである。

 ②方針管理の枠組みに沿った計画展開
 
 オーソドックスな製造戦略のフレームワークと位置づけは、特定の目標値、技術動向への対応・達成に向けた生産構造の組み直しが主となっている。
ここでいう生産構造とは、

・内外編成(何を自社の技術とし、内で何をつくるのか)
・拠点編成(それは、どの部分までを、どこでつくるのか)
・生産編成(何を、どの工場で、どのぐらいの量まで、どのような作り方でつくるのか)
・統制方式(各工場の関係をどう位置付け、全体の整合をどのようにつけ、全体最適を図るのか)
などを指す。
そこには、生産としての意思や考えはあまりなく、方針管理の枠組みに沿った計画展開のレベルを超えないものといえよう。
これが第二の違いである。 

 ③内向き傾向 

 第三の違いは、内向き傾向である。
第一、二の違いで述べたように従属型であり、展開的であり、生産としての意思や考えがあまり要求されないため、その検討方向を内向きに求めてきた。
具体的には、生産ビジョンや生産方針および組織能力、人材改革などを戦略検討の中心においてきたのである。  

 オペレーショナルな範囲としては、生産システムや生産管理システムのあり方を戦略と位置づけ、改善改革活動を牽引するものと位置付けられているケースもある。
これらの要素は大切なものではあるが、戦略と呼ぶかどうかには疑問がある。
要は能力構築・強化の計画であり、内向きであることは否めない。


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