グローバルものづくりのキーワード
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第2章 グローバルでの、ものづくりの目指す姿
~グローバルものづくりの要点~
4)グローバルものづくりのキーワード
自動車メーカーがグローバル戦略車を出すことをきっかけとして、ローカル拠点の役割が急速に変わり、現地の取り組みも主体的になったといわれる。
そこには、現地の方々のマインドを変える要素がある。
それは、ごく身近なものを作っているということ、ものづくりそのものが自身の生活に密着していると自覚できるということであろう。
グローバルなものづくりにおいては、今後もグローバルブランドとローカルブランドが混在し、その組み合わせが、ものづくりに大きな影響を与える。
化粧品などの場合は、グローバルブランドだけを販売しているケースが多い。
ブランドをどうするかは、まさに戦略の問題であるが、ものづくりがブランド戦略とシンクロするとは限らない。
このあたりもグローバルでのものづくりでは注意を要する。
例えば洗濯用の洗剤の場合、同じブランド名を日本でも新興国でも使用しており、強いブランドほどグローバルブランドを売りにしているケースが多い。
しかしブランド名が同じでも、製品が同じとは限らない、特徴は現地の人の好みに合わせて変えているケースがあるからである。
一般的に言えば、洗剤は日本では泡立ちの良さよりも身体にやさしいと言われる植物性原料の商品を好まれるが、東南アジアでは泡立ちの良さを好む人が多く、製品作りではその特性が優先されたりする。
そこでメーカーは、同じブランド名であっても、原材料を変えたり、異なった作り方をしたりすることになる。
そうなれば、当然、標準も異なったものになるし、工法も生産設備も、ライン編成も違ったものになる。
その結果、日本ではすでにまったく生産されていない商品を新興国では造らざるを得ないといったことも生じる。
前述の洗剤の例では新興国で造っているやり方を知っている人たちが定年を迎え、伝承が難しくなってきたという話しもある。
この例だけではないが、グローバルなものづくりでは、現在の技術だけでなく過去の技術やノウハウをどう伝えていくかということまでも考える必要があるのである。