標準化・プラットフォーム化は不可欠
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第2章 グローバルでの、ものづくりの目指す姿
~グローバルものづくりの要点~
2)標準化・プラットフォーム化は不可欠
グローバルでのものづくりでは、日本国内の工場で永年蓄積して来た「ものづくりのノウハウ」をいかにトランスファーするかが重要になってくるが、問題はその際に、伝えるノウハウが明確にされているかということである。
日本企業の製造現場の特徴は、継続的に改善を繰り返し、人の作業法だけでなく使用設備・機械も小改善でラインを日々発展させてきたことにある。
工夫や改善の結果、名称は同じでも、同じ機械でなくなってしまったものも少なくない。
そうした長年の努力によって変化してきた現場の情報は必ずしも形式知化されておらず、実際は暗黙知として共有されていることが多いのである。
改善は「標準を決める」ことから始まり、標準化の大切さはずっと語られてきた。
しかしながら、改善のたびに標準作業方法がリアルタイムで改定されてきたかと言えば、決してそうではない。
標準化がないがしろにされてきたわけではないが、日常的な運営の中では、いつのまにか暗黙知化してしまうケースも多かった。
極端なケースでは、日本国内にある同一社内の複数の工場で、使用されている現場の用語が工場ごとに異なってしまっていた……ということもあるほどである。
標準に関して、先の生産革新総合大会で語られたキーワードを集めてみると技術標準、暗黙知を形式知に、ハードの標準化、標準化・兼用化、共有化、最高水準をプラットフォーム化……などの言葉が各所で出てきており、グローバル生産に成功している企業は標準化やプラットフォーム化を重要視していることが良く分かる。
企業によっては暗黙知として容認せざるを得ない技能さえ、各工場のノウハウを集めて、暗黙知を形式知に変える努力もしている。
また、技能訓練にこれらを活かしている例も語られている。
同時に、長いものづくりの歴史の中でハードウエアも次々と工夫を加えて新たなものに変化してきているが、グローバルでのものづくりに適用するにあたり、グローバルとしての標準を意識したものにブラッシュアップされているケースも多い。
グローバルでのものづくりを成功させるためには、標準化はある現場でのものでなく、全世界共通となるべくプラットフォーム化するような仕組みにしていくことが重要なのである。