マネジメント実践の定石を大切に
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第2章 グローバルでの、ものづくりの目指す姿
~グローバルものづくりの要点~
3)マネジメント実践の定石を大切に
マネジメントとは、「現在の状態」を「目指すべき状態」に変換するときになされる行為をさす(図表2-4)。
工場の作業現場におけるマネジメントは、標準時間をベースに行われる。
それは、あるべき姿の作業方法を標準時間に置き換え、時間という形に変換し、その作業を実施する際の実績時間と比較して、その達成度を測定するという形でなされる。
そして現場の作業者が標準通り実施できるように、都度、指導監督するという形でコントロールすることでなされる。
マネジメントが「適正な測定」と「適切なコントロール」によってなされると言われているゆえんである。
そして、目指すべき姿そのものを改善することもものづくりマネジメントの一つである。
マネジメントはその対象が、製造現場だけでなく生産準備や購買あるいはロジスティックス……と範囲が広がっても原則は同じである。
マネジメントの範囲が工場全体であっても事業全体であっても同じなのである。
グローバルマネジメントにおいてもこの原則の遵守が大切である。
具体的には「目指す姿は何か」「現在の状態はどのレベルなのか」そして「何をすべきか」を決めることは、どこにおいても同じように行われるべきである。
多くの企業でKPI(KeyPerformanceIndicator)に基づく管理が行われているが、そのためには全体の目標、例えば工場の業績目標を決め、それを順次展開して個別の目標とし、それを達成すべき施策を選択するという進め方は、まさにマネジメントの定石の実施ということになる。
日本能率協会が提唱している「ものづくりグローバル標準マネジメント」もこの定石をシステマティックに展開することを目指したものである。
実際に活動を展開するときは、全体の総合目標を明示するだけでは十分ではない。
その目標を各担当部門が具体的に行動できるレベルまでブレークダウンすることが必要である。
そのため、総合目標を論理的に分解・展開し、重点を明確にしていくことがマネジメントの第一歩であり、それを個別の目標にまで掘り下げ、具体的に担当者一人一人が行動できる施策に結び付けることが必要となる。
そして、施策を計画的に実施し、成果に結び付けるのがマネジメントである。
ものづくりグローバルマネジメントでは、これらを論理的に展開するだけでなく、この全体を明確に伝えるために「見える化」が不可欠である。
言語や文化が違っても理解できるように、目指す姿を論理的に明示することは重要である。
特にものづくりにおいては、結果として業績目標に到達するために、達成したい状態(体質目標)を目指すことになるので、現状から改善までの流れを論理的に明示することが不可欠になる。
このプロセスでは、目標達成に向け実施する施策を幅広く検討し、柔軟に採用するなど、「自ら考える」ことが重要となる。
これもグローバルのどこでも同じ検討の仕方をすることで厚みを増すことになる。