確かなものづくりの再現は不可欠
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第2章 グローバルでの、ものづくりの目指す姿
~グローバルものづくりの要点~
2)確かなものづくりの再現は不可欠
グローバルでのものづくりでは、工場の所在地が日本国内であろうと新興国であろうと同じ「確かさ」が求められる。
日本企業に関するグローバルでのイメージは、品質の高さであり、それを実現する「確かなものづくり」にある。
しかし実際はどうであろうか。
もちろん非常にうまくやっている企業はあるものの、その一方で、国内でできることが現地ではできないとか、国内では起きなかった問題が海外で発生して苦しんでいるということがよくある。
グローバルのものづくりで苦労しているというのが現実なのである。
日本国内でうまくいっていたものが海外ではうまくいかない、というのは海外に行って初めて実感するものである。
日本では高度成長の時代に、企業は全社をあげて生産性向上や品質の向上に取り組み、大きな成果を上げてきた。
それが成功した一つの要因は、従業員の真摯な取り組みである。
それぞれの専門分野において、基本を正しく学び、工夫し、自身の腕前をあげるだけでなくお互いが切磋琢磨してきたからである。
その中でその企業独自の手法も生み出してきたし、多くのノウハウも蓄積してきた。
そうした運営がグローバルでは上手くいかない、あるいはノウハウが伝えられないのである。
確かなものづくりを再現するためには、ものづくり標準を明確にし、全員が使えるように形式知化することが必要である。
国内では簡単に伝わっていることも実はそれは暗黙知として共有されているに過ぎず、形式知として共有されているわけではない。技能に至っては属人的なカンコツとして伝承さえしようとしていないことも多い。
この状態では、技能伝承は行われていないと考えるべきであろう。
確かなものづくりは、標準を明示し、それを日々の実践の中で、繰り返し実践し、体質化していくことによって再現される。そのためには訓練も必要だし、現場の実践の中での指導も不可欠である。
まずは明確な指示が必要であり、標準通りなされているかの確認も必要である。
「確かなものづくり」は、
・正確な標準
・確実な実践
・都度の確認
・明確な指示
というマネジメントの基本の実践で、実現するものなのである。