文化・習慣の理解がグローバルものづくりの鍵
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第2章 グローバルでの、ものづくりの目指す姿
~グローバルものづくりの要点~
3)文化・習慣の理解がグローバルものづくりの鍵
日本企業のグローバル化の課題としてあげられるのは、言語、習慣、文化の違いをどう理解するかである。
工場運営の中で常に課題としてあげられているのは「人材マネジメント」である。
日本からの出向者の悩みの一つは、自身の専門以外の幅広い知見を要求されることにあるが、最も苦労するのは現地の方々と一緒に仕事をするときの行き違いである。
日本では当たり前に通じることが通じない。
コミュニケーションの過程で「日本では…」とか「日本人なら…」といった言葉がつい出てしまうのである。
言語の違いはともかくとして、習慣の違いや文化の違いをどう克服するかという問題である。
多くの海外赴任経験者から、異文化の中で現地の方々と一緒に活動する秘訣の一つは、「習慣や文化の違いを認識し、無理に現地に同化するのではなく、そうした習慣の人がいること、あるいはそのような文化が存在することを認識し、認めること」と言われる。
その社会で生活しようとする姿勢が大切であるのは言うまでもない。
とはいえ「ものづくり」に関しては、自社の「ものづくり」に関する価値観や大切にすべきものは譲らない、という強さが大切である。
先進国であれ、新興国であれこのことは重要である。
自社に対するロイヤリティーの高い従業員が多い会社はその姿勢が明確である。
その揺るがぬ価値感が、従業員の信頼や誇りにつながると認識すべきであろう。
これは生産現場だけの話ではなくグローバルでの「ものづくり」に共通な原則である。
商品自体は現地向けに開発したものであっても、その作り方や守るべき基準・標準は同じでなければならない。
ものづくりの精神は変わらない。
国境を越えてきちんと伝承し、遵守すべきことは遵守しなければならない。