マネのできないものづくり戦略
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第1章 グローバルものづくりで考えておくべきこと
戦略②マネのできないものづくり戦略
2つ目は、技術を軸にしたものである。
生産の場合、技術というと生産技術や生産スキルを中心としたものであり、これらを「マネのできない」レベルに戦略的に位置付けていくことが重要である。
これは単に生産技術のレベルを上げるというものではなく、技術と知的財産と事業戦略、商品戦略などを連結(図表1-5)させ、模倣や技術的追従を不可能にする戦略を構築することが必要となる。
コンサルティング時に直面することだが、多くの会社で生産技術の強み・弱みなどの棚卸しが行われておらず、強みを伺っても他社でも実行済み技術を紹介されることが多い。
生産技術を謙虚に評価し、将来を見越して技術をつくり込み、意図してオープンに普及拡大を進めながらコア技術はクローズとするなど、先進的知財戦略が急務である。
このように戦略も統合型戦略で、より強くしていくことが求められる(図表1-6)。
しかしながら、多くの会社であまり実践されていないことが残念である。
これら2つの戦略(次なるオペレーション戦略+マネのできないものづくり戦略)を、グローバル生産戦略として、より価値の高いものに練り上げていくこと、日本拠点をこの2つの戦略の頭脳、そして試行拠点として進化させていくことが、日本の製造業が再び輝くための条件と確信する。
3)今後、生産技術で競争力を高めるにはハード+ソフトが大切
生産技術は、開発・設計に関わりながら、形状化したものを、具現化・量産化する技術であり、その技術領域は「固有技術」と「オペレーションシステムを構築する技術」が連携しながら構築されていくものである。
製品技術が表であれば、生産技術は裏の技術であり、生産技術は表に出ないことから「見えない競争力」とも言える。
今後、競争力を高めるにあたり、裏の競争力である「生産技術力」を高めることが不可欠である。
生産技術の中では固有の技術であるハードの部分とオペレーションシステムというソフトの部分に大別される。
日本の生産技術の強さは固有技術とオペレーションシステムが相互に融合しているところにある。
そのハードとソフトのハーモニーを活かしながら生産技術をつくり込んでいくこと、そして戦略に活かすことが今後長きにわたり競争力を維持するためには大切であり、それを磨き続ける必要がある(図表1-7)。