グローバル化におけるリスクの考え方
ものづくりグローバル標準マネジメントの実践
第1章 グローバルものづくりで考えておくべきこと
1)グローバル化におけるリスクの考え方
今回の震災で学んだように、グローバル競争で不利にならないよう、改めてリスクマネジメントを棚卸し、今後のリスクに備えることが必要である。
これまで企業のマネジメントにおいては、収益(便益)と費用を軸とした、いわゆる事業投資効率やサプライチェーンの生産性を管理していくことが主な目的とされてきた。
しかし、震災後は特にリスクをマネジメントの第3の軸として評価、コントロールすることが求められている。
サプライチェーンに潜むリスクを発見・分析し、その対応費用を含めて事業計画を立案することが、これまで以上に必要とされている。言いかえれば、災害対策のBCPとは、
・災害などが発生した時に、重要な事業・業務が中断しないように、事前に対策を講じておくこと
・万一事業活動が中断した場合でも、被害を最小限にくいとめて目標復旧時間内に重要機能を再開させることを目的に、平時から対策を講じておくこと
などを戦略的に行うことをいう。
いざという場合に、従業員の安全と経営資源を守り、事業を早期に復旧させて顧客や市場に対する供給責任を果たすことで、「マーケットシェアの低下」などのリスクから企業を守り、「顧客や市場からの信用」「従業員の雇用」を維持することで会社の存続をめざすものである。
BCPへの取組みは、単なる製品やサービスの供給責任をこえて、企業価値や競争力に影響を与え、社会的責任の観点からも無視できないものになっている。