東レインタビューその2|コストの数値化とは?
全事業部門の生産・技術部署が生産本部に紐づいていますので、生産本部が横串機能となり連携をとっています。毎年、各製造部署が削減計画をつくり予算化しています。
それを、月次で工場単位・事業単位で実績を集約管理しています。
2015 ものづくり総合大会(2015年2月18日~20日)にあたり行った、開催前インタビューです。
企画委員の東レ 永安直人氏(生産本部 技術士 嘱託)にお会いしました。
日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略)
コストの数値化とは?

生産本部では20年以上前から、毎年のコストダウン活動はやっているんですよ。
安部
課題に対しての取り組みを教えてください。
コストを成果として捉えるのは、課題に対するコストを数値化して進捗を管理されているということでしょうか?
永安
全社的には「トータルコスト削減」という取組みを2002年からやっています。購買の大部分は比例費の部分なんですね。
そこで、直近では「Vci-10」という比例費革新活動で、全社の比例費を年率3%下げ、3年間で10%下げるという活動を行ってきました。
また、生産本部では20年以上前から、毎年のコストダウン活動はやっているんですよ。
省エネや購買活動を含めた自助努力改善については3%とか5%とかを目標にしていますが、これは工場で管理できる加工原価の5%を自助努力で改善しようという意味です。
一方、原油相場や電力料金が上がりました、というようなことは外部要因として除外されています。
安部
この目標値は、どのようにお決めになるんでしょうか?
永安
基本的には、全社方針をベースに生産本部の本部長が決めますが、毎年一定率で継続的に改善を進めています。
そして、生産本部スタッフとして生産総務室が国内12工場の予算と実績を集約管理しています。
例えば、技術的な課題から特殊な部材や材料を使用している購買品があるとします。
そうすると汎用品を使うことによってコストが下がる、また、汎用品にすることで、単一ベンダーであったのが複数購買できるようになり、競争原理が働いてコストを下げることになります。これが自助努力となります。
そのためには、やはり使用原料として汎用スペック品を使いこなす生産技術が必要で、製造部や技術部が連携して自助努力改善技術を開発しています。
安部
なるほど。
その辺の複数購買化のターゲット設定は、購買・調達部門の方々が旗をふられて推進するのでしょうか?
永安
購買物流部門の原料部、資材部、物流部、購買物流企画推進室が、購買に対して旗振り役をやっています。
原料部や資材部が担当している原材料や部材は、汎用品化や複数購買化や海外調達などの課題を工場に提案されています。また、物流部からはモーダルシフトやスワプや荷材リサイクルの提案もされています。
工場として購買する副資材や、原材料も工場調達を行うものは製造部署が自助努力改善目標を設定しています。
安部
調達や生産技術など、様々な機能部門が関わりながら推進されるのだと思います。
目標が出された段階から、どこをどのように紐づけて改善していくかは、それぞれの部門が連携して進めていくのでしょうか?
永安
当社は、全事業部門の生産・技術部署が生産本部に紐づいていますので、生産本部が横串機能となり連携をとっています。
毎年、各製造部署が削減計画をつくり予算化しています。
それを、月次で工場単位・事業単位で実績を集約管理しています。
安部
これまで長い年月改善を積み重ねて来られて、自助努力がなかなか難しい部署もおありだと思います。
そのあたりは、生産総務室の方々がサポートしてやっていかれるのでしょうか?
永安
生産総務室がサポートする部分もありますが、動ける範囲も限られますので、実際は各事業を担当する技術部がサポートすることになります。
品質・機能を維持して特殊スペック品を汎用品に変えるとか、海外品を使いこなすというような取組みですね。
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