東レインタビューその1|サプライチェーンをどうバリュー化していくか?
2015 ものづくり総合大会(2015年2月18日~20日)にあたり行った、開催前インタビューです。
企画委員の東レ 永安直人氏(生産本部 技術士 嘱託)にお会いしました。
日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略)
サプライチェーンをどうバリュー化していくか?

東レ 永安直人さん
安部
今回、永安さんには、ものづくり総合大会 企画委員会の「調達・購買・物流」ワーキングに参加していただいています。まず、調達・購買・物流に関する課題感についてお聞かせください。
永安
調達・購買・物流の領域を考えた時に、サプライチェーン全体をいかにバリューチェン化していくか、ということが課題になるかと思います。
調達・購買では、弊社のプロジェクトとしてトータルコストの削減を目的に活動しています。トータルコストとして、調達・購買のコスト削減テーマに比例費削減があがっています。
また、弊社に関わるお取引先とのCSR調達活動を進めています。
安部
“コスト”と“CSR”に着目しているということでしょうか?
永安
そうですね。
ただ、CSR調達は、購買調達だけでなく外注、それも生産外注、販売外注を含めた活動ということになります。

購買や物流はどの企業にとっても共通に学べる部分がたくさんありますので非常に参考になると思います。
CSR調達の管理とは?
安部
生産外注と販売外注を含めて、ということを少し詳しくお聞きできますか?
永安
生産外注というのは、部材加工とか梱包作業など製造部署が外注しているものです。
販売外注とは、営業部署が最終商品にいたる過程で外注加工しているものです。
安部
両方とも調達部門の管轄下で行われるのでしょうか?
永安
いえ、そうではないです。
生産外注は、製造部門の管轄下で行われます。
例えば、外注先で何か部材をつくることもありますし、梱包作業を外注することもあります。
それらは製品入庫までの工程ですから、生産外注になります。
営業外注の場合は、工場で入庫したもの、例えばフィルムを、お客様の要求される規格サイズにスリッティングしてお客様に納品します。
その場合は、営業部門がスリッティング会社に外注をして、お客様に納品します。
これらは営業外注となるわけです。
安部
営業部門も製造部門も、CSR活動の評価は、最終的に同じ指標で評価されるのでしょうか?
永安
全社的には「CSR調達ガイドライン」に基づき各部門が管理し、CSR室が統括しています。
生産外注に関しては「法令遵守」、「安全・環境・防災」、「製品安全」などが重点となります。
営業外注に関しては、CSRに関するガバナンス、「独禁法」や「下請法」等のコンプライアンスも重要な項目となります。
それから、CSR調達では外注先の職場環境や人権など労働条件についてもフォローしています。
具体的には、製造部門は生産総務室、営業部門はマーケティング企画室、関係会社は関連事業本部、海外は国際部がそれぞれ事務局を担当し、購買・物流企画推進室が各部門の活動をとりまとめています。
そして、CSR室は全社スタッフとしてCSR活動を推進しています。
安部
そのような体制は、いつごろから組織されているのですか?
永安
全社の「CSR調達ガイドライン」が制定されたのは2004年です。お取引先への「CSR調達アンケート」は2008年から実施しています。その後「生物多様性」や「紛争鉱物」などのテーマについても、CSR調達に順次取り入れています。
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