横浜ゴムインタビューその1
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)にあたり行った、開催前インタビューです。
企画委員の横浜ゴム 加々美茂氏(タイヤ生産本部 理事・本部長代理)をご訪問しました。
日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略)
生産・製造分野、調達分野、開発分野を俯瞰する理由は?
安部
「生産革新総合大会」から「ものづくり総合大会」に名称が変更されることになりました。
生産・製造分野だけでなく、調達分野、開発分野も含めてバリューチェーンを俯瞰したテーマについての講演会という、企画委員会の望みが反映された結果だと思います。
企画委員である加々美さんご自身は、どのように感じておられますか?
加々美
もはや、当然の話だと思っています。
これまでの生産革新総合大会を否定する気は全然ないですが、生産開発が主体になって、生産開発をするための人材育成があって、生産開発をベースとしたマザー工場があって、というところが今までの生産革新総合大会でしたよね?
それ自体はそれでよかったと思いますが、もっと大きいフィールドの話しとの連携は、なかなかなかったと、私は感じていました。
今回たまたま調達のワーキンググループに参加させていただきましたが、
ものすごく重要なファクターだと思いますよ、調達って。
サプライチェーンマネジメントにいたる基本的な組織って、どうあるべきかに関わってきます。
技術方の関与、事務方の関与、どのような組織形態がもっとも会社を有益に導いてくれるのか、ということが各社さんともまだまだ悩んでおられるという気がします。
それに加えて、ひとつのメーカーでやる必要はないわけですよね、調達は。
つまり連合っていうのがありえるわけです。
提携した会社はまずやっているはずです。タイヤ業界でいえば、グットイヤーさんと住友さんが、共同購買をやっておられます。やはりマスがあれば安くなるのがマスの利点でして、これは当然の話ですよね。
しかし、それだけじゃないって気がしています。
調達も単に買う調達から、基本的に育てながら調達していくっていう領域が、次のステップというって気がしています。
安部
そうですよね。
加々美
今は中国から調達することが多い。でも地産地消(ちさんちしょう)になったら、もう中国からの調達ではないわけですよね。
中国より安いところもあるでしょうから。
安い国から調達しましょうという考え方だけじゃなく、違う国で中国なみの実力をつけて、そこを育て、そこから調達しよう、という考え方がでてくると思います。
安部
なるほど、なるほど。
加々美
その為にどうやって私たちは、原資をつくってそこに投資をすべきなのかっていう、弊社もそんな形で考えていきたいなって思っています。
調達担当者が「経営の視点」で、調達先を育成するとは?
安部
ご参加いただいた調達分野のワーキンググループでは、調達担当者が「経営の視点」で、調達先サプライヤーのコンサルテーションや育成をするという議論になりましたよね。
加々美
なりましたね、そこが次のステージですよね!
今までは、ただ買うだけ。
でも、そうするとコスト戦争になるだけです。
品質とコスト両立させながら、差別化していくという、そこに手をいれていかないと、できない話しだと感じています。
安部
調達担当者だけでは、なかなか難しいですよね。技術の領域が多くありますので、生産技術者、開発技術者たちとの協力が必要です。
加々美
そう!そこが組織ですよね。
事務方と技術方が組んだ組織形態がないかぎり、なかなか実現できないはずなんですよ。
自分達のニーズにあったものを、先行して投資するわけですから、先を読む力も必要なわけです。「私たちはどこの領域を購買してくるか?」「自分達の付加価値を、どこに持たせるのか?」「そのために、どういうものを調達するのか?」っていう視座から考えないと、できないはずですよ。
関連する講演は・・・
2015ものづくり総合大会
2月18日(水)オープニングセッション 15:40-16:50 特別講演3
日産自動車株式会社 取締役副社長 松元 史明氏
2月19日(木)10:00~16:30
調達分野Cセッション 「サプライチェーンマネジメント」
トヨタ自動車
花王
ボーイング・ジャパン
調達分野Cセッション 「サプライチェーンマネジメント/開発購買」
2月20日(金)10:00~16:30
日本通運
日本能率協会コンサルティング
オムロン