新誠一氏インタビューその11
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)にあたり行った、開催前インタビューです。
欲しいモノが見えない時代の商品とは?
新
はい。
安部
これだけ日本国内にものが溢れていて、欲しいものがないぐらいの中にまたものを提供しようとして、メーカーはご苦労されているわけです。今まで高度経済成長があって、ものが欲しい、ものが欲しい、物質的に豊かになりたい、そう思い、努力して、豊かになりました。そこに貢献してきたのが、日本のメーカーであるのは間違いないと思います。
いま、日本国内の市場は、どちらかというと、精神的なココロの安定というか、情緒的な豊かさを求める傾向がみられます。
そこに、日本のメーカーが今後どのように貢献していくのか?ものづくりで、ココロの豊かさに貢献するような動きが、でてくるのかなとちょっと期待しているですが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか?
新
まず、私が若いころ、憧れはNYであり、パリだったりしました。欲しいものは海外にあって、それは明白でしたね。欲しいものがなんであるかがはっきりしてて、車が欲しいとか冷蔵庫が欲しいとか、でっかいチキンが、欲しいとか(笑) 明白なんですよ。
それを作ればいいだけの話だった。
ところが、現在は日本が世界で一番豊かな国になっちゃって、そうすると欲しいものがみえないわけですよ。
お手本がないから、何が欲しいかを探しださなきゃいけない。ところが、消費者はないものを欲しがらない。
安部
そうですよね。そう思います。
新
ないものを欲しがれないわけですよ。だから例えばアップルがやってることは、消費者に対して、これが欲しいんでしょ?って。
消費者は、あっ!これが欲しかったと思うわけです。グーグルも同じです。
ないものをだして、それで、「これが欲しかったんだ!」となる。
何か商品をだして、消費者の反応をみて、それからどちらに進んでいくのかを、決めなきゃならない。
または、消費者も取り込んだ ものづくりをしていかなきゃいけない。
だって、消費者に聞いても、消費者分からないからね!
そこに、つくる側と消費者側のコラボがないと。
安部
ものを、つくる段階から消費者をいれてかないといけない、、、
新
逆に言えば、消費者の世界から生まれてきたものは強いですよね。
価格ドッドコムとか、一休ドットコムとかです。今までは、商売にならないと思っていたものが、消費者に支持されてどんどん大きな会社になっていく。消費者サイドでデザインして、自分たちが欲しいものを、手に入れられるような世界観です。
消費者が、作ったいいモノの権利を買って、それを大量生産するとかね。
消費者のアイディアを、会社としてどう活かしていくのかが重要です。
一人じゃつくれない、できないこともあるわけですから。
安部
はい。そこに、またITの力がからんでくるわけですね。
新
そうそう。消費者は、どんな形でも参加させないと満足しなくなる。
そういう意味で、それはすごく大事な視点です。
工場を特別視したらダメなんですよ。
工場は、街に出てこなきゃいけない、そのひとつが3Dプリンターです。
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