新誠一氏インタビューその2
2014 ものづくり総合大会(2014年2月19日~21日)にあたり行った、開催前インタビューです。
技術者がお客さま視点を持つ必要性とは?
安部
お客さんに近いところで、お客さんのニーズが把握される。
そんな中、技術を持った会社の技術者が、もっと顧客志向に、お客さんの視点を持ってほしいという願いも企業から出てきています。
技術者がお客さん視点を持つことによって、生まれてくる商品が変わってくるのか、またその必要性についてどうお考えですか?
新
まず、技術を学んだ人は、技術のための技術を、みんな一生懸命やりたがるんですよ。
例えば、日本にはすごくいい技術があるんですよ。技術者としてとして日本の企業に就職するのは、非常にうれしいことでしょう。
だけど、その技術や製品の開発が、社会の求める時期から10年も早い、なんてことがよくあるんですよ。
例えば、ワークステーションに液晶をつけた製品をつくった。バブルの頃ですね。
みんなすごく欲しがったんだけど、その液晶画面を作る投資をしなかった。何百億円単位で投資しなきゃいけないわけです。そして、投資しないと商品ができない。
その間に別な会社が液晶を、つくりはじめた。でも可能性を見いだしたのは、最初に作った会社なんですよ。
安部
そうだったんですか。
新
技術者は、きっと楽しかったと思いますよ。こんなにいいものが作れたってね。でもコストはいくらかって聞いてみたら、作れませんという回答になってしまった(笑)。
大学で教えている立場ですが、あえて極端な言い方をすれば、理系の人は技術が好きで、技術オタクで、人とのコミュニケーションが苦手な人も少なくない。
だから、消費者視点なんていうと、「なにそれ?」って・・・。それで苦労してるわけですよ。
技術者は集中して没頭して研究するのはまだ必要だけど、経営者にはやはり消費者目線が必要ですよね。この技術は完成したけど、市場の動向を見て、みんなが欲しがってることを見てから市場に出す、とかね。
スマートフォンみたいなタッチパネル使った端末ものは、京セラさんでも東芝さんでも、1990年代にだしてたんですよね。何度もだしたけれど、大成功とは言えなかった。
安部
タイミングが早かったと?
新
アイディアとして発表して開発しても、通信回線がいまみたいにMbpsじゃなくて9600bpsだったりとか、そんな時代です。
メモリーだってもちろん今のようにギガバイトではない。
そうすると通信が遅く、その発想が使えなかったりする。
あるステージにいかないと、機能しないから、その見極めが非常に大事ですね。
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