【講演者インタビュー】2月15日 キユーピー 荻野氏~その2~
2019ものづくり総合大会にてご講演いただく、キユーピー 生産本部 生産技術本部 未来技術推進担当 荻野武氏に、日本能率協会の中本がお話をお伺いしました。
(以下敬称略)
キユーピーのAI活用とは?
中本
キューピーに入社してからはどのような業務に携わっていますか。
荻野
私は現在、未来技術および次世代技術の担当部⻑として未来技術、次世代技術の社会実装を進めています。
いろいろなことをやっていますが、特に力を入れているのがAIです。
中本
今回の講演は「キューピーにおける現場力×AIによるイノベーション」というタイトルで登壇いただく予定になっています。
実際にキューピーではAIでどのような取り組みをされているのでしょうか。
荻野
まだあまり大それたことをいえる段階ではありませんが、AIを使ったシステムのプロジェクトを20件ほど立ち上げています。
私は生産本部に所属していますが、製造本部でAIをやり始めた際、営業本部や品質保証本部、研究開発本部、人事本部などいろいろな部署の人からさまざまな提案を受けました。
それで、いっしょにやろうということになり、たくさんのプロジェクトが立ち上がりました。
その中で最も重要視しているのがAIを使った原料検査装置です。
キユーピーには創始者中島董一郎から大事にしている考え、「良い商品は、良い原料からしか産まれない」という理念があるからです。
原料の安全・安心を担保するためにAIを活用した原料検査装置を開発し、既に弊社の工場で使用していますが、既に食品メーカーなどいろいろな企業から「使いたい」と引き合いを頂いており、このような原料検査装置を必要とされるメーカーさんにはご提供していきたく思います。
中本
原料検査装置のお話が出ましたが、それを販売する状況に至るまでにいろいろと苦労があったと思います。
実際に苦労したと感じた点はどの辺にありましたか。
荻野
この原料検査装置はポンチ絵を描いてそこからプロトタイプを作り上げるまで2カ月ほどしかかかりませんでした。
グーグルやブレインパッドを始めとする企業の方々、弊社の生産技術の職員らが助けてくれ、結構すぐに完成しました。
直ぐに現場投入できると思ったのですが、非常に甘い考えでした。
私は先ほども申し上げましたが、日立の出身です。
ITや電気は少し知っていても、食品メーカーに必要なことが分かっていません。
それで、プロトタイプを工場に持っていったところ、総スカンを食らいました。
加工場にも入れてもらえず、汚い工作場に押し込められて作業していました。
要望は誰でもマニュアルなしに操作できる、どんなことがあっても安全、簡単に洗浄できるなど多岐にわたりました。
それを1つひとつつぶしていき、ようやく現場へ投入できたのが1年後でした。
~次回に続く~