【講演者インタビュー】2月15日 ダイキン工業 澤氏
2019ものづくり総合大会にてご講演いただく、ダイキン工業 空調生産本部 堺製造 役員待遇 部長 澤静治氏に、日本能率協会の成富がお話をお伺いしました。
(以下敬称略)
新工場のコンセプトとは?
成富
現在のお立場や実際に取り組んでいることをお教えいただけないでしょうか。
澤
私はダイキン工業の空調生産本部堺製造部の部長と全社の技能伝承委員会の委員長を務めています。技能伝承委員会は、現場の技能を育成し、伝承することを目的に活動している組織です。
また海外工場の生産性向上、製造現場のレベルアップの支援を実施しています。
最近では、一昨年に米国テキサス州のヒューストンにできた大きな工場に生産支援の形で定期的に出張しています。
弊社は1978年からものづくりにトヨタ生産方式を取り入れました。
ダイキン流にPDS(Production of DAIKIN System)と呼んでいますが、日本と中国、アジア・オセアニア、ヨーロッパ、北南米でそれぞれ、製造部長会議を設け、4カ月に1回委員会を開催しています。
そこにも参画し、ものづくりの考えや取組みをグローバル展開する役割を担っています。
ですので堺製造部だけでなく月の半分は外部に出て活動しています。
成富
堺工場はマザー工場の役割を持っているのでしょうか。
澤
そうです。
堺工場を空調機器、滋賀工場を家庭用ルームエアコンのマザー工場と位置づけています。
私も2011年までは滋賀工場にいました。
成富
ものづくり総合大会の講演でお話いただくPDS、IoT、人材育成についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
澤
PDSはトヨタ生産方式を1978年から勉強し、弊社に導入したものです。導入以降、継続して取組みを進めてきました。
ジャストインタイムと自動化をベースにし、工場の指標としては生産性と時間の短縮を2つの軸で展開しているものです。
その具体的な事例を紹介したいと思います。
PDSは従来から現状分析に多大な労力をかけ、ストップウォッチで時間を計測するなどの活動を展開してきましたが、これからはIT技術を活用し、現状分析を楽にしたいと考えているところです。
工数も減らし、そこから生まれた時間を改善やアイデア出しに充てたいのです。
今回の新しく立ち上げた堺製作所臨界工場には、IT技術を活用できる仕組みを導入しています。それをみなさんにお伝えしようと思っています。
加えて、臨海工場にはITやIoTも採用し、基本的な生産台数、稼働状況、品質などのマザー工場で作成したものづくりの情報を海外に横展開するとともに、日本にいて海外工場の状況がすぐにわかるように順次展開していく方針です。
海外工場への支援も先方の要請を待たずに、こちらから押しかけていく形にしたいと考えています。
成富
構想はいつごろから出来上がったものなのでしょうか。
澤
新工場の構想は古い工場を順番に耐震補強していたことが発端になっています。
また堺製作所金岡工場にて室外機を中心に生産してきましたが、周辺の環境変化などの影響で操業が厳しくなってきました。またトラックが一定時間帯に集中し渋滞も発生していました。
もともとは耐震補強などを目的にしたBCP対応が工場建て替えの目的だったのですが、このタイミングを好機と捉え、新技術を導入したマザー工場にしようと考えました。
工場の様々な箇所にセンサーを織り込み、IT技術を実装したデジタルファクトリーへの転換を目指したのです。
耐震補強のBCPとセットで工場改革を実施するタイミングだったわけです。
成富
ありがとうございます。
~次回に続く~