【講演者インタビュー】2月22日 アネスト岩田 穂積氏
2018ものづくり総合大会にてご講演いただく、アネスト岩田 エアエナジー事業部 福島工場 生産技術グループ 工場生技チーム チームリーダー 穂積 寛之氏に、日本能率協会の小高がお話をお伺いしました。
(以下敬称略)
かつての福島工場は、もっとも評価の低い工場でした。
小高
ご講演タイトルにある「F1」とは、どのような意味でしょうか?
穂積
「F」は福島、「1」はナンバーワンです。
これを導入する前の福島工場の状況を説明したいと思います。
福島工場は、かつては国内3工場、海外40社の中で、もっとも評価が低い工場でした。
弊社の扱うコンプレッサーは、お客様のニーズとして「すぐ欲しい」というものです。
その為、「当日受注・当日出荷」で対応していたのですが、お客様のニーズに対応するためには、どうしても現場の負荷が高くなります。
また、工場単位での収益も圧迫されます。
このことから、現場のモチベーションが下がりがちになります。
小高
頑張っているのに報われない、というのは現場はつらいですね。
穂積
そうです。
これまでも現場の改善を行ってきましたが、顕在化した課題に対応するにとどまり、活動が終わるともとにもどってしまう、このようなことの繰り返しでした。
「福島を何とかしよう」、と係長たちが立ち上がり、改善をはじめました。
ボトムアップです。
小高
具体的にはどのようなことをやったのですか?
穂積
自分たちの「強み」と「弱み」を把握し、そのうえで「どうあるべきか」、「なぜそうすべきなのか」を繰り返し議論しました。
その結果が、生産方式をゼロベースで構築することです。
ただし、「当日受注・当日出荷」は変えません。
その新しい生産方式を上層部に提案し、実行しています。
小高
今までの生産方式を変えることに、反発は無かったのでしょうか?
穂積
有りました。
我々が現場を分析したデータを示すことで、経営層からは賛成を得ました。
一方で、現場からは心配する声も上がりました。
小高
どのような声ですか?
穂積
福島工場では、12年前まではライン生産を行っていました。
その後、セル生産方式を採用したのですが、今回の改善で、混流生産方式を提案しました。
このことに対する心配です。
小高
現場から見ると、「また変えるのか」という声がありそうですね。
どのように克服していったのでしょうか?
穂積
現状を分析し、課題を明確化すること、このことを丁寧に説明してきました。
生産現場に、どれくらいの「ロス」が生じているか、その原因は何に起因するのか、どうすれば改善できるのか、です。
小高
実際に現場の作業を確認していたのですね。
穂積
そうです。
現場に出ると、皆が「何をやっているのか」と気にします。
となると、現場からも改善提案が出てきました。
現場も一緒に考えだすようになります。
~次回に続く~