クオリティセッションコーディネータインタビューその1| 3社のものづくりに共通する点とは?
2016ものづくり総合大会の調達セッションコーディネータ 日本能率協会コンサルティング シニア・コンサルタントの松田将寿氏にお話を伺いました。(以下敬称略)
3社のものづくりに共通する点とは?

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本日はテルモ、花王、デンソーの3社の講演でした。
製造業であり、品質を大切にするというキーワードが共通していますが、実際に作っているモノは全く違っています。
この3社が作っているモノはそれぞれ違っても、共通している項目、非常に類似性が高い項目について、松田さんが強く印象に残った点はどこになりますか。
松田
いくつかありますが、それぞれ歴史を持つ会社ということが共通項として挙げられます。
各社とも言い方は異なっていましたが、スピリットやウェイという形で、企業の基本的な理念や文化、特に品質の関する点をしっかりと定義して、ずっと継承してきています。
その中で高い品質の製品を作り込むためにどうしているかと言えば、先人の偉大な言葉を尊重しながらも、現在の状況に対応させるため、色々と工夫して分かりやすい言葉を出してきています。その方向性を平易な言葉で語っていました。
これが共通項の第1点だと思います。
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昔の創業者が語った言葉を踏まえながら、今の若い人にその言葉の意味が入っていくように平易な言葉で体現しているということですね。
松田
例えば、テルモは「現場開発」という言葉を使っていました。
花王は「生活者」というふうに価値の提供対象を定義しています。
デンソーは「全員参加」でしたね。人の力によって品質を作り込むとしています。
デンソーは「工場の当たり前」など非常に分かりやすいキーワードも出して、方向性を展開していました。
1点目の特徴が歴史を持ち、スピリットやウェイに基づくものだとしたら、2点目はその方向性を分かりやすい言葉で提示していることです。
3つ目はダイレクトやリアルという言葉に代表されるように、直接的で現実感のあることを志向していることではないでしょうか。そこも全ての会社に共通しています。
例えば、テルモだと実際に模擬の教育をし、自社の製品を含めた医療現場を再現して使い方を観察するとともに、使っている人の感想を抽出していました。これはダイレクトでリアルだと思います。
花王で注目したのはVOCです。
調査会社に委託してまとまった数の顧客の声を聞くのではなく、直接に消費者の生の声を聞くところに会社の方向性が出ていました。
VOC以外では、実際にいただいたお客さんの言葉にユニバーサルデザインした結果を返していてリアルな返答がきちんとできています。
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