三菱電機 インタビューその2|人材育成の上で課題と感じていた2つのこととは?
2015ものづくり総合大会の参加者 三菱電機株式会社 人材開発センターものづくり教室 教室長 織田昌雄氏にお話を伺いました。日本能率協会の成富一仁がインタビューします。(以下敬称略)
人材育成の上で課題と感じていた2つのこととは?

成富
2015年2月にものづくり総合大会で講演していただきました。
講演する以前に業務で感じていた課題はどのようなものでしょうか。
織田
人材育成に携わることになった時点で、本当に恥ずかしながら、自分自身が自社の生産技術や技能系の全社的な教育施策や体系を把握していませんでした。そこでまず全社的な生産技術の教育体系を理解しようとしたのですが、そもそも生産技術を明確に示してくれる体系がないのです。
ものづくり教室に来てみて、1つは生産技術とは何か、その領域やなすべきことは何かを体系的に示すことが、大きな課題だと気付きました。
技能系については大きな社長行事を任されていて、準備や運営などは担当者がしっかりやっていました。この運営には数百人規模の研修生を分単位で動かすというものもあり、それは精緻で練り上げられたものです。担当者には本当に感心します。
しかし、何のために行事をやるのか、行事同士がどういう位置づけにあるのか、運営する側も参加する側も、研修する側も研修される側も、実施しているこれらのことの上位の目的が何なのか、わかっているようには思えませんでした。
正直、私もよくわかっていませんでした。技能系の行事や研修に参加すると、肌身ではとても大切なことだとわかるのですけれど、何が大切かと言うとうまく表現できません。
もどかしいのですが今でもそういうところは、多々あると思います。
技能競技大会といった技能系の施策の上位の目的を明確にして、皆が目的を理解し共有することが二つ目の課題です。
成富
そうなのですね。
織田
わたしもかつて、技能系のメンバーといっしょに仕事をしてきました。
世の中にないような製造装置の研究開発と試作、そして実機を製作し事業所に持ち込んでそれを生産に適用することなどです。
私は製造装置の試作部門の課長をしていました。
装置を組み立て製造ラインに据え付ける技能系のメンバーとも、仕事をしています。
ですので、技能系の方との付き合い方や仕事の仕方は分かっているつもりです。
でも、彼らが若いころにどんな教育を受け、ここまでやってきたのかは知りません。
実際に彼らとともに技能系の研修を受けたことも無く、教育者として関わってもいなかったからです。
今、あらためて、技能系の人材育成に熱意を持って取り組んでいます。
成富
大会での講演まではどのような活動をしていたのでしょうか。
織田
発表までのことをお話ししましょう。
4月に人材育成を担うようになり、日本能率協会コンサルティング(以後JMAC)の石田さんとお話する機会がありました。
教育の体系ができていないと思う中で、JMAの考え方、整理の仕方に興味を抱いたからです。
例えばエンジニアリング・プロセスとサプライチェーン・プロセスについてまとめた図などです。
当教室も「どこ領域を担当しているのか」といわれたときに、「生産技術や製造を中心に担当しています」といえるようになろうとしていたところです。
そんなとき、JMAC石田さんと話していて、技能競技大会に話題が移りました。
JMAC石田さんには「他の会社がやめていくのに、ブレずにやっていますね」といってもらいました。
その頃から自分自身も「そうなんだ」と思うようになりました。
9月までJMAC石田さんもいっしょに三菱電機の社内を回っていただき、三菱電機のものづくりを見ていただきました。
「課題は何か」、「どういうふうな体系にすればよいか」という話をずっと打ち合わせしておりました。
そういうことを講演前はしばらく続けていたのです。
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