川崎重工業インタビューその1|エンジニアに必要なグローバル視点とは?
2015ものづくり総合大会の参加者 川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニー サプライチェーン本部 生産技術部 部長 田畑穣氏にお話を伺いました。日本能率協会の成富一仁がインタビューします。(以下敬称略)
エンジニアに必要なグローバル視点とは?
成富
田畑さんの現在のお役割についてお聞かせ頂けますでしょうか。
田畑
川崎重工業は様々な分野で商品・事業を展開している複合・総合重工のメーカーです。
私が所属するモーターサイクル&エンジンカンパニーは、オートバイや四輪バギー、また芝刈り機などの発電機のエンジンを開発・製造しています。
私は1988年に入社して以来、生産技術を担当しています。
2004年まで7年間ほどアメリカでの駐在経験もあります。
現在、生産技術部では、170人ほどのスタッフを抱えています。
これがモーターサイクルを含めたものづくりのスタッフになります。
生産拠点は日本ではメインの明石工場と、加古川地区にアルミニウムの鋳造工場があります。
生産拠点は東南アジアを中心に北米、南米にもあり、グローバルに展開しています。
グローバルでは10カ国に14拠点があり、海外のエンジニアリングスタッフのサポートも日本が担当しています。
私も拠点のエンジニアリングスタッフのサポートとしてアメリカへ赴任しました。
14カ所の海外拠点の立上げ・運営には多くの生産技術スタッフが関与しており、駐在員も多数必要になっています。その点がグローバル展開でのひとつの課題となっています。
先ほど日本の生産技術のスタッフは170人程度といいましたが、そこには現業職や生産設備を作る人も入っていますから、純粋にエンジニアといえば100人弱になります。この人たちにグローバルな視点を持ってもらわないといけません。
私が海外赴任から帰ってきて、その後生産技術部長となって3年になりますが、今日本に居るエンジニアたちを見ていると、海外環境についての理解が足りないと感じています。
私たちの年代(昭和~平成初期)は仕事で海外赴任の経験を持っています。
海外に行けば生産技術だけでなく、工場運営全体のことを見なければならないケースがよくありました。
調達や品質保証というところまで否応なく首を突っ込まなければならなくなるのです。
しかし、今の日本の生産技術の課長やその下の(係長相当にあたる)主事は、幅広い職務領域に触れる経験がほとんどない人が増えてしまいました。
彼らにもっと幅広い視点を養ってもらいたいと思ったことが、ものづくり総合大会への参加のきっかけにもなっています。
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