富士フイルムホールディングスインタビューその1|コストダウン改革プロジェクトの内容とは?
2015ものづくり総合大会の参加者 富士フイルムホールディングス株式会社 経営企画部 調達グループ マネージャー 茂木秀介氏にお話を伺いました。日本能率協会の成冨一仁がインタビューします。(以下敬称略)
コストダウン改革プロジェクトの内容とは?
はじめに社内での立場や仕事の役割についてお聞かせください。
茂木
現在、富士フイルムホールディングスの経営企画部、調達グループに所属しています。
調達グループはホールディングス全体の調達力強化を担当しているセクションです。
全社横断活動として、コストダウン改革プロジェクトも進めています。
富士フイルムの場合は、材料系の事業と機器系の事業の双方を持っています。
機器系の事業は材料系に比べ、収益性、採算性の面で劣るところがあるので、コストの観点からもっと改善したいと考えています。
富士フイルムは今、事業部制をとっています。
機器関連の事業で言えば、デジタルカメラや光学デバイスは光学・電子映像事業部、インスタントカメラや写真プリンタはイメージング事業部、印刷機器や産業用インクジェットプリンタはグラフィックシステム事業部、それからメディカル機器はメディカルシステム事業部が担っています。
コストダウン改革プロジェクトの狙いは、コストダウンという活動に組織横断的な思考で切り込むことです。
基本的には、事業部軸で組織は動きますから、このような横断的な活動にはあまり協力的でない意見がでることもあります。
だからこそ、活動の成果をどうやって出し、見せるかについて、頭を悩ませています。
まずは、日本能率協会さんに紹介していただいたヤマハ発動機様の活動やその他の企業事例なども参考に、会社横断のコストダウン活動の具体化について検討したり、会社全体として機器コストがどうなっているのかを分析しているところです。
実際に進み始めている活動の一つとして、グローバル調達改革があります。
これは、海外の調達物流をまとめたり、海外の新規ベンダーを探索するといった活動です。
さらに、横断調達の取組みも実施しています。例えば、梱包材料の調達は少量なので事業部単独では専任者を置きにくい。そのような場合はなかなかコストダウンに切り込めないのです。そういったものを横軸でまとめて、コストダウンするような活動を開始しています。
こうしたグローバル調達や横断調達は事業部単独ではやりにくので、当セクションが旗振り役で対応しています。
また、富士フイルムに限った話ではないかもしれませんが、調達エンジニア、調達エンジニアリングが今、1つのキーワードになってきています。
生産が海外にシフトするにつれて、ものづくりのコスト構造を理解した上で、コスト交渉できる人材が不足しており、調達部品に関して様々な問題が起きてきます。
そこで、エンジニアに近い調達人材の育成を通して、調達部門の強化を図っていきたいとも考えています。
まずコストを目に見えるようにしたうえで、グローバル調達、組織横断的調達、調達エンジニアリングの強化を目指して、今スタートを切ったところです。
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