新誠一氏インタビューその3|先端技術者の交渉術とは?
2015ものづくり総合大会の企画委員長 電気通信大学の新誠一氏を訪問しました。日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略)
先端技術者の交渉術とは?
安部
生産システムを標準化していくことについて、国をあげて標準化を進めていきたいという思いがある一方で、日本はもののつくり方や思想、それに基づく生産技術が結構企業ごとにこだわりを持って構築されていて、ヨーロッパと比べるとなかなか統一しにくいのではないかと感じています。
全体の流れに足並みを揃えるためには、乗り越えるべき課題が多いと思うのですが、まずは意識の改革といった地道な取組みが必要になりますでしょうか?
新氏
こういう仕事に関わらせていただいて、先端の技術者の方々、経営者の方々とお話をする機会が多いのですが、特に技術者は真面目な方が多いですよね 笑。
自分の仕事、技術に誇りを持っていて嘘を言わない立派な人達ですよ。それは素晴らしいのですが、それだけだと他と協調しにくい面が出てきます。
よく“WIN-WIN”といいますが、譲るところや自分が残すべきところをコミュニケーションすることが、標準化においても大事なのです。でも実際には、自分に自信や誇りがあるだけになかなか譲れないのですね。
その辺の交渉術と言いますか、とおり一辺倒の交渉術ではなく互いに信頼しあう交渉術のようなものを、先端エンジニアの人達も身につけていかないといけないなと思います。
安部
やはり、日本は島国として長くあった歴史からも、隣国とのやりとりや敵対関係があった欧州とは根っこで異なる部分がありますかね? 笑
新氏
そうですね、それが20世紀だったと思います。
ところが、ご承知のとおり日本は人口も減ってきて、ものづくりが世界規模になっている中で、日本の工場は随分海外にシフトしています。
否が応でも海外と連携しなければいけない、そういった時代に入ってきていますよね。
いま、多くの経営者の視野は、世界規模に変わってきておられる。
技術者の方々も、タイだとか中国だとかインドネシアだとか、どんどん出ている時代ですから、21世紀の日本の在り方は随分と変わってきているなという印象を持ちます。
安部
今回も、本大会の企画を進めるにあたり、企画委員のみなさまに生産、開発、調達、品質、人材育成のワーキンググループによるディスカッションをいただきました。
もちろん、各分野で議論するテーマは異なったのですが、例えば、グローバルと品質ですとか、グローバルと調達など、“グローバル”の切り口での議論はワーキングで共通して話題に挙がっていました。
また、“連携”という切り口でも、日本と海外との連携、部門間の連携など、ワーキングでの共通話題に出ており、先生がおっしゃったことがやはり課題に挙げられていると思います。
新氏
グローバルの時代になったので、みなさんの関心が単なるものづくりではなくなってきたのでしょう。
例えば、BCPのような形で、東日本大震災やタイの洪水なども経験してきた中で生産を続けていくことを考えた時、世界視野で今後どのようにものづくりをしていくべきかというのは大きなテーマだと思います。
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